「ダイエットしながらマッチョになる」は多くの場合不可能

最後にルール3ですが、「ダイエット(体重を減ら)しながら筋肉をつけてマッチョになる!」は多くの場合できません。

人体を動かすためには炭水化物が分解された糖質を中心としたエネルギー源が必要です。しかし、摂取する糖質や脂質などが不足すると、人の体は、タンパク質、つまり筋肉を分解してエネルギー源に変えるようになります。このことをカタボリック(異化)と言います。

一方、人の体は、摂取エネルギーが十分満たされていてタンパク質も十分に摂取している状態だと、筋肉ではタンパク質の合成が行われます。これをアナボリック(同化)と言います。

皮下脂肪が薄く筋肉隆々とした体のボディビルダーは、1年を通してほとんど筋トレをしていますが、シーズンオフは体脂肪も増えるけれどもたくさん食べ、体重と共に筋肉を増やします。つまりアナボリック(同化)を優先しています。そして、コンテストの数カ月前から摂取カロリーを消費カロリーよりも減らし、体を絞って(体脂肪を減らして)います。

厳密に言えば大会前のボディビルダーは、筋肉量を保ったまま体脂肪率を減らしている、つまり、カタボリックを抑えアナボリックを促すようにしているのですが、これは一般的な働く人には難しい食事と運動管理が必要となりますのでお勧めはしていません。

サラダボウルを持つ男
写真=iStock.com/FS-Stock
※写真はイメージです

自分に厳しくしすぎないほうがいい

繰り返しますが、ダイエットには近道はありません。食べる量(摂取カロリー)を抑え、運動(消費カロリー)を増やすという、誰もが分かっていることの実践あるのみです。

産業医として暴飲暴食を推薦するわけではありませんが、疲れた時の甘いおやつ、頑張った自分への週末のごちそうなど、仕事が佳境を迎えていたり、働き盛りの時期は自分に厳しくしすぎなくてもいいのではないでしょうか。

海外の行動心理学的研究では、人は1つのことを我慢すると、他のことに対する集中力や根気が減ってしまうというものがあります。ですから、ダイエットにはなるべく難なくできる方法が大切です。

そこで次に、難なく痩せるために具体的で行いやすい方法を3つ紹介させていただきます。