多忙なビジネスパーソンがダイエットをすることは可能なのか。外資系企業で産業医を務める武神健之さんは「働き盛りの時期は自分に厳しくしすぎなくてもいい。難なくできる方法を選ぶことが大切だ」という――。
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写真=iStock.com/ALLEKO
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体重は食事、体型は運動で作られる

年間1000人の働く人の心や体の悩み相談に乗っている産業医の武神です。毎年この時期に必ずあるのは、「夏までにかっこいい体型になりたい」という相談です。

そして、1万人以上の働く人をみてきた私の毎年の答えは、「簡単に痩せる/太る方法はありません。ルール3つと具体的対策3つをお話ししますので、理解した上で、できそうなものをまずはやってみてください」です。

今月も、あなたのお役にたてば幸いです。

まず、ルール1は、体重は食事、体型は運動により作られる、です。

体重を減らすにも増やすにも、一番大切なのは運動よりも食事です。摂取する(食べる)カロリーよりも消費する(運動等)カロリーが多ければ痩せますし、その逆ならば太ります。

病気でない限り、人が太る原因のほとんどは、カロリーのとりすぎです。食べ物でも飲み物でも、摂取したカロリーが高すぎるだけです。コロナ禍でリモートワークとなり、通勤や出社がなくなったことで、私のクライエント社員の多くは男性2~4キロ、女性1~3キロ太りました。基礎代謝や日常生活での通勤や運動で消費するカロリーよりも、摂取したカロリーが多い状態が続いてしまった結果でしょう。

「これさえやれば痩せられる」方法はない

一方、肩幅を広げたい、胸板を厚くしたい、腰痛を改善したい、お尻をきゅっとひきしめたい等々のボディメイクこそ、食事よりも運動(特に筋トレ)です。もちろんこの場合も、筋肉をつけるためには、消費するよりも多くのカロリーをとらなければなりません。

痩せたい人は運動よりも、カロリーのとりすぎに注意することに尽きます。体重を1kg落とすためには約7200kcalマイナスバランスである必要があります。これを達成するために産業医としては、次のルール2を守っていただきたいと考えています。

ルール2は「これさえやれば簡単に痩せられる/マッチョになれる!」方法やサプリはありません、です。カロリーバランス(計算)とPFCバランス(タンパク質Protein、脂質Fat、炭水化物Carbohydrate)が現時点では最も信頼のできる戦術です。

ただしこの戦略はとても地道です。

人が本来とっていい1日のカロリーは、実は、現在の体重に関係なく、身長から導かれる標準体重1kgあたりに25~30kcalをかけた値となります。たとえば、身長173cmの男性の標準体重は、約66kg。これに25~30をかけると1650~1980kcalとなります。簡略化のため細かいことを省いてざっくりと1日1800kcalくらいと考えましょう(日中の活動レベルを考慮に入れるなど、標準体重の算出方法はいろいろありますので、やりやすいものでいいと思います)。