素人が日本一のフォロワー数を獲得した“ある工夫”

日本で最も多いフォロワー数を誇るTikTokerの「じゅんや@junya1gou」は、約4000万人のフォロワーがいる(2022年1月上旬時点)。

「じゅんや@junya1gou」のTikTokトップ画面
画像=「じゅんや@junya1gou」のTikTokトップ画面

日本国内のTikTokのMAUよりも多いのは、海外のフォロワーが多数いるからだ。元ZOZO社長の前澤友作氏がツイッターで約1100万フォロワー、タレントの渡辺直美氏がインスタグラムで約960万フォロワーであることを考えると(それぞれ2022年1月上旬時点)、その規模の大きさがわかる。

なぜじゅんやに多数の海外フォロワーがいるかといえば、それは非言語的な体を張った芸が持ち味だからだ――これは、電撃ネットワークが海外で人気になったのと近い現象だと言えるかもしれない。

言語の壁を突破できる技があれば、ショートムービーの世界では有利に戦うことができる。ユーチューブチャンネルの登録者数も伸びており、いまなお快進撃を続けている。それを証明するかのように、株式会社BitStarが発表する「インフルエンサーパワーランキング2020(チャンネル総再生数ランキング)」では、じゅんやが東海オンエアやフィッシャーズを抜いて第1位に輝いた。

じゅんやについてもうひとつ興味深いのが、プロフィール欄に「I will be King of TikTok!!!/TikTok王におれはなる!!!」と記載しているところ。

ツイッター王やインスタグラム王といった表現は見たことがないが、じゅんや以外にもTikTok王といった言い回しを使っているユーザーは存在する。持たざる状態から成りあがるといった上昇志向が非常に強くあらわれている。個人をどう魅力的に見せるか、プロモートするかの色合いが強く、友達同士のソーシャルネットワークではなく、あくまでもメディアの中でどう目立つかという特性があるためだろう。

フォロワー数約1.3億人のチャーリー・ダミリオは年収20億円

アメリカでもこの熱は同様で、TikTokから数々のスターが生まれている。その筆頭に挙がるのが、フォロワー数約1.3億人と世界トップのチャーリー・ダミリオ。

天野彬『新世代のビジネスはスマホの中から生まれる』(世界文化社)
天野彬『新世代のビジネスはスマホの中から生まれる』(世界文化社)

TikTok上でのプロモーション案件に加えて、自らアパレルブランドを展開するなどしているが、ウォール・ストリート・ジャーナルによると2021年の収入は1750万ドル(約19億9800万円)! 一方で、S&P500種指数構成企業のCEO報酬(2020年)は中央値で1340万ドルである。若年層がTikTokerになりたいと思うのも無理はない。

フォロワー数約2500万人で、19歳のジョシュ・リチャーズは、仲間とともに15億円を調達しベンチャーキャピタルファンドを立ち上げた。自分たちで稼いだお金でエンジェル投資をすることにとどまらず、ファンドマネーでスタートアップ企業に投資し、SNS戦略等とあわせて成長を支援していくという。

さらに強いのは数千万人いる自身のフォロワーに宣伝をすることもできる点だ。特有の上昇志向に乗っかるかたちで、TikTokerはキャピタリストになって経済を動かすほどのインパクトを持つ存在になっているのだ。

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