動画SNS「TikTok」に熱中する若者が増えている。電通メディアイノベーションラボの天野彬さんは、「TikTokは『持たざるものに優しい』という特徴がある。素人であっても、数千万人のフォロワーを集め、数十億円を稼ぐスターになれる可能性がある。そうした『なにが起きるか予想できない』という部分が人気を集めている」という――。

※本稿は、天野彬『新世代のビジネスはスマホの中から生まれる』(世界文化社)の一部を再編集したものです。

画面上のTikTokアプリケーション
写真=iStock.com/5./15 WEST
※写真はイメージです

日本国内のユーザー数は約2000万人

日本国内のTikTokのMAU数は、調査会社AppAnnieによれば、2000万人ほど(2021年末時点)である。筆者の身の回りの使われ方や盛り上がり方を鑑みれば妥当だと実感する。

グーグル・トレンドで「TikTok」について調べてみると図表1のようになる。黒線は「その言葉そのもの」の検索回数を示す。例えば、東京であれば「東京」とクエリに何回入力されて検索されたかを指す。

その一方で青線は「トピックス」と呼ばれるもので、「日本の首都」「Tokyo」といった概念・話題として一致するものをカウントする。TikTokの検索回数はいずれも右肩上がりであることがわかる。

2018年8月にトピックスとして急上昇しているのは、musical.lyと合併したタイミングにあたる。ショートムービーへの注目が高まったタイミングだ。もうひとつの山は2020年8月で、米中対立の中でクローズアップされたことに起因する。

検索数で見ると、2019年までは上昇基調ながらやや天井にあたっていたところが、2020年には一つ頭抜けて、2021年までその勢いを増していることがわかる。黒線のTikTokそのものの検索量も順調に増えているし、青線のトピックスが時折スパイクを起こすのも特徴だと言える。

「投稿画面そのまま」「ロゴ透かし」広告で社会現象に

TikTokがグローバル化を志向する際、日本市場でウケれば特にアジア諸国でも浸透するはずだという戦略があった。

しかし海外で人気のサービスとうたってみんなが使うほど甘くはなく、サービスローンチ後のコールドスタート期(盛り上がらない状態)を突破するには、質の高い日本のクリエイターのコミットが重要となる。日本では、きゃりーぱみゅぱみゅ、E-girls、フィッシャーズなど若者に人気のセレブリティやSNSで人気のインフルエンサーがTikTokを盛り上げていった。

TikTokの初期広告キャンペーンは、TikTokの実際の画面そのものを発信するというもので、それが大きな話題を呼んだ――筆者の身の回りでも、この時期にユーチューブなどでその広告を見て認知した人が多かった。またTikTokのウォーターマーク(透かし)が入った動画がツイッター、インスタグラム、ユーチューブなどのTikTok外へと広がったことも、多くの人々にリーチするきっかけとなった。

ソーシャルメディア上でざわつき始めた話材はテレビなどでもすぐに取り上げられるため、次第に社会的な現象になっていったのだ。