無料の朝食も好評だが、全国一律のメニューとは一味違う。

「温かいものを温かいうちに出すことを心掛け、小分けしたビュッフェ形式でお出ししています。素材も、沖縄ならゴーヤを使ったものというように、地元の食材も積極的に取り入れています」(同)

加えて、「ホテルの女将版」ともいえる女性支配人の、こまやかな心配りも人気を呼ぶ。夕食用のレストランはあえてつくらず、コストカットを徹底している。

これらのサービスがシングル一室5500円前後というリーズナブルな「価格」で利用できる。多くのホテルが危険水域である「稼働率6割」を切る中、70%以上の高い稼働率を保っている。最近は、観光や、地方での冠婚葬祭に利用する顧客も多いという。

一方、一泊3万円以上のラグジュアリーホテルでも、「便利な立地」「接客態度の良さ」が人気を集めている。トップに立ったのが、日比谷の帝国ホテルだ。

原点にあるのは「顧客の厳しい注文」。「帝国ホテルではサービスがいいのは当たり前。それを評価するときは“さすが帝国ホテル”と言われ、ミスがあると“帝国ホテルともあろうものが”と顧客から厳しいお叱りを受けるんです」(ホテル業界関係者)。その厳しさに応えることで変わらぬ「評価」を得ている。その帝国ホテルも、デフレの影響で平均単価が一泊3万円を切った。それでも稼働率は66%前後と低迷し、目下、ギリギリの採算ラインにある。