30~40代はスタートアップに移って株を持つ

ネットフリックスで働いていた私の友人のケースは特殊なものではなく、シリコンバレーでは「給料よりも株式」という考えが根づいています。

だからこそ、シリコンバレーの人たちは大きく稼いでいるのです。

失敗してもキャリアの形成にプラスにすることができ、次のチャンスもあるという背景もあってか、よくも悪くも「一攫千金」の発想を持って、リスクを取りながら大きなリターンを狙うのがシリコンバレー流であるともいえます。

私は、このようなシステムは、日本でもどんどん採用されるべきだと思っています。

大きく稼げる可能性がないまま、成長が鈍化した企業にしがみつくしか方法がない状況では、「勉強しよう」と奮起しようにも、モチベーションが上がりにくいのではないかと思いますし、そのような環境では働く人の成長が促されず、もったいないと思うからです。

ですから、私が30代後半から40代くらいまでのビジネスパーソンに伝えたいのは、スタートアップに移って、ストックオプションをもらうべきだということです。

有望なスタートアップは日本でも続々登場していますから、はっきりとストックオプションを要求して転職するのがおすすめです。あるいは日本に進出するシリコンバレー発のスタートアップへの転職を考えてもいいでしょう。

日本でも、株式を持つことで「努力が報われる」ということを体感できる機会が増えてほしいと思っています。

株価を確認する女性
写真=iStock.com/gorodenkoff
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外に出たほうが価値を認められるケースは多々ある

「シリコンバレー発のスタートアップへの転職を」と聞いても、「現実味がない」と感じる人が多いかもしれません。しかし、それは転職市場の実情を知らないからではないかと思います。

海外の企業が日本に進出する際、日本ならではの知見や業界のネットワークを持つ人材を採用しようとするケースはたくさんあります。ところが、なかなか採用がうまくいかないのです。

原因は、日本における人材の流動性の低さにあります。終身雇用が長く続いた弊害か「大企業にしがみついているほうが安心だ」と考える人が多いのかもしれませんし、今の会社にいるよりも外に出たほうが価値を認められるケースが多々あることに気づいていないのかもしれません。

そもそもユニコーン企業は、10年前には世界で見ても30社ほどしかありませんでしたが、現在は800社を超えています。それだけ、世界中で有望なスタートアップが増えているわけです。

背景にあるのは、やはりDX(デジタルトランスフォーメーション)でしょう。特にコロナ禍以降はデジタルシフトが進み、新たなサービスを提供する企業の中から急成長するところが続々と誕生しています。そういった世界の流れに、まず目を向けるべきです。