いま転職して高いリターンが得られる業界、企業はどこか。実業家で元サンリオ常務の鳩山玲人さんは「狙い目は、『転職が少ない業界、日本進出の海外ベンチャー、コロナ禍で激変の業界』の3つだ」という――。

※本稿は、鳩山玲人『シリコンバレーで結果を出す人は何を勉強しているのか』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

スタッフが対応する忙しいモダンなオープンプランオフィス
写真=iStock.com/alvarez
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ネットフリックスで働き給料の9割をストックオプションにした男

シリコンバレーでは年収1億円ほど稼ぐ人はまったくめずらしくありません。なぜ、そのように稼げるのかといえば、ストックオプションで企業の成長の果実を得る人が多いことが大きな理由です。

ストックオプションとは「従業員や取締役が、あらかじめ定められた価格で自社株を取得できる権利」です。将来、株価が上昇したときにストックオプションを行使すると、「あらかじめ定められた価格」と「そのときの株価」の差の分を利益として得られる仕組みです。

鳩山玲人『シリコンバレーで結果を出す人は何を勉強しているのか』(幻冬舎)
鳩山玲人『シリコンバレーで結果を出す人は何を勉強しているのか』(幻冬舎)

つまり、会社の業績が伸びて株価が上昇すればするほど、ストックオプションを持つ人の利益が増大するわけです。

私の友人に、かつてネットフリックスで働いていたデイビットという男性がいます。彼とは、ハーバード時代にアカペラグループで一緒に活動していました。

ネットフリックスには給料をストックオプションに自由に割り振れる制度があり、彼は2007年にネットフリックスに入ってから、ずっと給料の9割をストックオプションにしていました。

当時のネットフリックスの株価は3ドルほどでしたが、2022年1月時点で株価は550ドルを超えています。ざっと180倍です。

仮に2007年大学院修了当時の年収が1500万円だとして、そのうち9割にあたる1350万円をストックオプションで受け取って今でも保有していたとすると、入社1年目のストックオプション分だけでも現在の価格は25億円近い計算になります。

もちろん、もしネットフリックスが潰れていれば、ストックオプションは無価値になります。ですから、彼は相応のリスクを負って、このような選択をしたわけです。

しかしシリコンバレーで働く人は、割合はさておき、ストックオプションを選択するケースが多いのではないかと思います。「自社の成長に賭けられないなら、そもそもその会社で働く意味がない」ということなのでしょう。

彼はその後、ネットフリックスを辞め、ロサンゼルスに大きな家を建てました。

現在は、空調や配管などの工事を担う施工業者向けの事業管理システムを提供するサービスタイタンというスタートアップでCFOを務めています。ニッチなビジネスですが、今後の成長が非常に期待されている企業です。

ネットフリックスでの成功を経ても満足することなく、次のビジネスにチャレンジしている様子も、シリコンバレーの人らしい生き方だと感じます。