※本稿は、佐藤直樹『「世間教」と日本人の深層意識』(さくら舎)の一部を再編集したものです。
真冬なのに「暖房を使用してはいけない」という謎ルール
ビックリするニュースを見ました。福岡市の小中学校では、真冬でもコロナの感染予防のために、窓を一日中全開にしているというのです。暖房を入れてはいるけれど、当然寒いです。ところが、生徒は制服だけで、オーバーや防寒具はおろか、マフラーや手袋、ハイネックなども着用が禁じられています。
そういう訳のわからない謎ルールがあるために、生徒が凍えている。
私は福岡に住んでいたので思い出しましたが、福岡市立の小中学校は、たしか2014年までエアコンがなかった。2014年からエアコンがついたけれど、それは冷房用としてしか使わない。暖房もできるけれど、使用は認めなかった。
2016年になって、初めて市立の小中学校に暖房が入ったということです。福岡の冬は寒いときは0℃になります。雪が降る。だから、本当に寒い。教室にいると、死ぬほど寒い。
生徒が風邪をひくから暖房を入れるべきだと、PTAでお話ししたことがありますが、「いや、子どもは風の子、大丈夫です」。福岡はそういう意識のところなのです。しかも県立の高校にも暖房がない。
大学の授業で、それを話題にしたことがあります。学生に聞いてみたら、ほとんどの高校には暖房が入っていない。「冬はどうしてるの?」と聞いても、特に疑問を感じていないようでした。
教室では寒くても防寒具を着ちゃいけないという、訳のわからない謎ルールだけでなく、ほかにも合理的な理由のないルールがあります。いわゆるブラック校則です。
明らかなセクハラ行為を学校がする
福岡で問題になっていたのは、下着の色チェックです。福岡では、市立中学の8割ぐらいが下着の色を指定しています。その確認のため、服装検査というのをやるわけです。
男女一緒にして下着のチェックをする。廊下に並ばされてシャツの胸を開けて下着チェックをする。さすがに福岡県弁護士会が人権侵害だと指摘したそうです。
下着のチェックは、「法のルール」から考えれば、明らかにセクシャルハラスメントだし、強要罪という犯罪になりかねない。