実際「着ていないと思うほどの気持ちよさ」を実現したという機能性インナーウエアのヒートテックの販売は絶好調だ。今年度の計画販売数量は前年度実績の2700万点を大幅に上回る4700万点に引き上げられ、同社2010年8月期の第1四半期決算で粗利益率を前年同期比1.1ポイント改善させる大きな原動力になっている。
「ユニクロの強みの1つは品質と価格のバランス。今後ともお客さまに納得いただける品質を適切な価格で提供していきたい」と同社広報部はいうが、その強みを発揮できるのも、SPA(製造小売業)としての強固なシステムが構築できているから。
川上の原料調達では、東レなど繊維トップメーカーと直接交渉を行い、新素材の共同開発を展開。その原料を100%自社で買い取る。そして、品質管理などの技術サポートを行っている提携先の海外工場において100万単位で大量生産することによって、リーズナブルな価格で消費者への提供を可能にしているのだ。
加えて国友氏は、品揃えでユニクロが評価されている点にも注目する。
「取り扱っているアイテム数でユニクロは、少量多品種販売で数万点を扱うしまむらと比べて桁違いに少ない。しかし、今回の調査結果では、ユニクロの品揃えに軍配をあげる人が多い。実はそこにユニクロならではのマーケティングの妙が隠されている」
ヒートテックと並ぶ冬の定番商品となっているものがフリース。同じフリースでもフルジャケット、パーカなどのデザインに加えて色添えも豊富で、その数は172種類にも及ぶ。その分、フリースを買いにいったお客は店頭で選択する楽しみが増え、自ずと品揃えに対する満足感を高め、集客力アップにつながるというのだ。
ユニクロの2010年1月末時点での国内店舗数は773。「よりお客さまに便利になるような立地に出店を考えていきたい」(同社広報部)というが、最近の出店傾向を見ると、2009年4月の新宿西口店(約580坪)、同10月に新装オープンした銀座店(約700坪)など都市部の大型店に力を入れているかのようである。