40代は年金の目減りを覚悟し、70歳への対策を
「年金」の目減りがそれほどひどくなさそうな50代に比べて、40代は、本気で年金の目減りを覚悟しておいたほうがいいようです。
というのも、年金そのものの目減り率が50代よりも高いのに加えて、「年金額」の基準となる給料が、50代ほど多くならないことが予想されるからです。
また、今の40代は、正社員ではないフリーランスの比率も50代よりも高い。そうなると厚生年金に入っておらず、国民年金に加入している人も多いので、もらえるのは老齢基礎年金だけという人も多いからです。
年金の「給付額」については、先に書いたように、5年に1度の「財政検証」で示されます。
年金は、現役世代の所得の50%を保つことになっていて、50%を下回りそうだったら、保険料を引き上げるなどの対策を検討することになっています。
ですから、働いている人の月収が手取り35万円だったら、年金は17万5000円になります。
ただし、これはモデルケースであって、誰もが必ず働いている世代の給料の50%以上をもらえるというわけではありません。経済状況や収入、働き方、家族構成などによってばらつきがあって、40%台という人も出てきます。
また、40歳の方たちが年金をもらうようになると、年金支給年齢そのものが70歳となっているでしょうから、約30年後のこと。その時、どうなっているのかは誰もわからないというのが本当のところでしょう。
そもそも、年金額が現役世代の所得の50%を保つというのは、60歳で引退して65歳から年金をもらい始める人をモデルに計算されています。けれど、今40歳の方が年金をもらう頃には、年金そのものが70歳支給になっている可能性がかなり高いです。
そうなると、70歳まで年金はもらえない(目減りしてもよければ60歳からもらえるかも)ことになるぶん「年金財政」も改善されているので、もらう額については、今の50歳とあまり変わらないのではないかという計算も成り立ちます。
危険な老後を避けるための3つの原則
日本年金機構の「年金ネット」に登録すれば、40歳でもウェブで年金額の見込みを試算することはできます。ただ、年金をもらうのが30年後ということになると、その時の状況などは誰もわかりません。
ですから、もらえる年金はざっくり今の収入の4割ほどと見込み、あとは、次の3つを徹底しておきましょう。
①70歳まで働く
②夫婦で働く
③住宅ローンなどを返しておく
70歳まで働けば、年金をもらうまでの空白がなくなります。ちなみに、1989年の男性の平均寿命は75.91歳でしたが、2019年は81.41歳(厚生労働省「簡易生命表」)。
30年間で平均寿命は約6年延びていますから、40歳が70歳になった頃には、今の65歳くらいの感覚なのかもしれません。
大切なのは、それまでに夫婦で働いて、貯蓄を少しでも増やしておくこと。また、パートの妻でも厚生年金に入っているかもしれないので、世帯で見たら年金額そのものも多少増えている可能性があります。
最後に、徹底させておかなくてはいけないのが、年金をもらう前に、住宅ローンなどの借金は、すべて清算しておくこと。借金があっての年金生活は、危険です。
以上、3つのことをやっておけば、もらう年金額が多少減っても、慌てることはないでしょう。