化学産業は、原・燃料として化石資源を使用して多くの温室効果ガスを排出している一方で、他産業へ大量の部材を供給している。c-LCAの評価方法とは、それらの部材を用いた他産業の製品が使用されるときに排出されるCO2の量に注目し、同様の機能をもつ化学製品を用いた完成品と化学製品を用いない完成品とを取り上げ、それらのライフサイクルでのCO2排出量を比べて、その差分を化学製品がなかった場合に増加するCO2排出量と考え、正味のCO2排出削減貢献量として算出する方法である(図2参照)。
LCAの考え方に立てば、化学製品を使用することによって、断熱、照明、包装、海洋防食、合成繊維、自動車軽量化、低温洗剤、エンジン効率、配管、風力発電、地域暖房、グリーンタイヤ、太陽光発電などの諸分野で、温室効果ガス排出量を大幅に削減することができる。1990年に設立された化学業界の国際的な業界団体である国際化学工業協会協議会(ICCA)が2009年7月のイタリア・ラクイラサミットにあわせて発表した報告書は、化学工業により可能となる温室効果ガス排出量削減効果は、05年時点で同業界における生産時排出量の2.1~2.6倍に相当し、30年時点での削減可能性は4.2~4.7倍に達する、と結論づけている(ICCA, Life Cycle Analysis report, 2009)。