専門性の高い内容でありながら、次々作品を発表している一橋大学名誉教授の野口悠紀雄さんは、とりわけ音声入力を活用するようになってから、生産性が大きく向上したという。30分の散歩で2000字の文章を書くというその独自の方法を、セブン-イレブン限定書籍『「超」書く技術』から紹介する──。(第3回/全3回)

※本稿は、野口悠紀雄『「超」書く技術』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

文章を楽に書くための「仕掛け」

私は、文章を楽に書くための仕掛けを持っています。長い文章を書く場合にとくに有効ですが、短い文章の場合にも、もちろん有効です。

この仕掛けでは、書きかけのものも含め、自分が書いたどんな文書にもすぐにアクセスできます。それによって、徐々に文章を完成させていくことができます。ほかの仕事で中断してしまった場合でも、すぐに元に戻れます。

私は、原稿を書くためにこのシステムを使っているのですが、きわめて効率的に機能しています。これがなければ原稿を書くことができません。日々の小さな作業の積み重ねを蓄積できるような仕組みになっているのです。

スマートフォンで音声入力をする女性
写真=iStock.com/Artem Laktikov
※写真はイメージです

書きたくないメールが楽々書ける

なかなか書き始められない文章があります。例えば、詫び状のメールなどです。遅れれば遅れるほど、書きにくくなります。そして、連絡が遅れるために、問題が大きくなります。だからますます書きたくなくなります。

これを克服するための方法は簡単です。メールの送信欄を開いて、下書きを書いておけばよいのです。不完全な文章であっても、いっこうに構いません。

音声入力でなら、あっという間に書けます。それによって、文章のカケラでもよいから、とにかく書いておくのです。

そして、それを徐々に直していきます。この作業を何回か繰り返していけば、やがて、相手に出せるような内容のメールが出来上がるでしょう。