「呆れを通り越して悲しい」「ノリが狂ってる」

政府が検討している「イベントワクワク割」が炎上している。

「ワクチン接種者又は検査陰性者を対象にイベントチケットの2割相当分(上限2,000円)の割引支援」(経産省HP)をするということから、GoToキャンペーン時のように、感染者数が高止まりしている中で税金をかけてやることかという批判が多く寄せられているのだ。4月13日に岸田文雄首相が「ただちに始めることは考えていない」と述べるなど、政府も火消しに奔走している。

ここまでボロカスに叩かれているのは、政策の中身もさることながら「ネーミング」の影響も多い。SNSを覗いてみるとこんな書き込みが目に留まる。

《ノンキぶっこいているが、恐ろしい感染症が大流行している設定どこいった?》
《GoToも酷かったけど、これもそれ以上にひどい》
《名前もふざけてるし、ワクチン後遺症の人はどう思う? そういうノリが狂ってる‼》

また、社会学者の古市憲寿氏もこうツイートしている。

《日本のコロナ対策があまりにもとんちんかんなのは知っていたが、「イベントワクワク割」のセンスのなさには呆れを通り越して悲しくなってしまった。やるべきはひどい名前のキャンペーンではなくて、医療体制含めて社会を元通りにする準備ができました、と宣言し、人々を安心させることでは。》

一大キャンペーンの背後には大手広告代理店

こうした悪評を受けて、岸田首相は「中身は知っていたが名前までは知らなかった」などと周囲に漏らしているとTBSが報じた。こういう情報が官邸からリークされるということは、この「センスのないネーミング」に関して、「トカゲの尻尾切り」が始まったということだ。

さて、そこで皆さんは、なぜ「イベントワクワク割」などというセンスのないネーミングになってしまうか、と不思議に思うことだろう。

政府の政策やキャンペーンの情報発信には、巨額の予算がつくので大手広告代理店が請け負うケースが多い。職員たちが知恵を出し合って名前を決めるような小さな自治体と異なり、話題のテレビCMや、おしゃれな広告キャンペーンを手がけてきたコピーライターやクリエイターも参加をする。

にもかかわらず、出来上がったものは「イベントワクワク割」というクオリティなのだ。

もしや大手広告代理店が「手抜き」をしたのではないか。何かの手違いでセンスの悪いクリエイターが起用されてしまったのではないか。そんなふうに感じるのは当然である。

だが、報道対策アドバイザーとして、政府や行政の情報発信の内情を少なからず見てきた経験から言わせていただくと、真剣に考えていないとか、センスがどうこうという次元の問題ではない。