介護保険で「必要な介護力」はどれだけカバーできるか

特に、病気の種類や家族構成で「介護部分」に変動が大きい。再び吉澤医師が「在宅に必要な介護力を介護保険でどれくらいカバーしているかというと、一般的には半分くらいです」と説明する。そもそも“介護力”とは何なのか。

「まちの診療所つるがおか」の千場純医師
「まちの診療所つるがおか」の千場純医師(撮影=笹井恵里子)

「たとえば排泄、立ち上がってトイレに行く、食事をする、洗面洗顔など、普通の人が当たり前にやっていることができなくなるので、そこを誰がどれだけカバーするか。それが介護力です。もちろん“本人が一人でできないこと”は病気の種類や状態によりケース・バイ・ケースなのですが、できない部分の半分は介護保険でヘルパーさんにお願いしたり訪問入浴を頼んだりできる。もう半分を家族が行うか、お金を出して介護サービスを受けるか、というイメージですね」

家にいながら医療を受けるという、在宅医療はこれまでは「人生の最期」だけだったが、コロナ禍で注目されたようにこれからの時代は「入院の代替」も担っていくだろう。あなたの親や配偶者が最期の時、または病気を患った時に「家で過ごす」ことを望んだら、あなたは経済的に、そして介護力をどこまで提供できるだろうか。(続く)

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