日本酒1合分のアルコール分解時間は5時間
アルコールの運転に対する影響度合いを理解したところで、次に気になるのが、体からアルコールが抜けるまでに必要な時間だ。
「飲酒後、○時間以内の運転は禁止」などという指標があれば極めてシンプルなのだが、どうなのだろう。
「医学的な見地から言うと、体内におけるアルコールの分解速度は、1時間に4gと捉えてください。これは日本アルコール関連問題学会などの学会が飲酒運転を予防するために提示しているデータです」(樋口さん)
日本酒を例にとると、1合(アルコール20g)を分解するのに要する時間は5時間という計算になる。その2倍飲めば10時間といった具合に、時間とほぼ比例すると考えればいいそうだ。
「アルコールの代謝には男女差、個人差があります。久里浜医療センターでの実験結果では、男性の場合1時間に9g、女性で6.5g程度です。代謝が速い男性の場合は1時間に13gも分解できる人がいる一方で、1時間に3g程度という女性もいます。こうしたばらつきも配慮して、老若男女のさまざまな人に適用される基準として、1時間当たり4gが適切と判断したわけです」(樋口さん)
飲み過ぎたら翌日は運転してはいけない
単純計算すると、3合飲んだら15時間、4合飲んだら20時間ということになる。つまり、飲み過ぎたら、翌日の運転は事実上ダメということだ。
「その通り、飲み過ぎたら翌日運転してはいけないことになります。厳しいと思われるかもしれませんが、そのくらいの感覚で運転に臨んでほしいということです。また、体内からアルコールが抜けた後、つまりゼロになった後も、運転技量に影響があるという報告もあります」(樋口さん)
確かに、私もそれを実感したことがある。飲酒した翌日、酒が抜けた午後になって運転しても、いつもより運転がイマイチになることがあると感じていた。ブレーキのタイミングが遅れたり、注意力が散漫でハッとしたりすることが何回かあった。それ以来、翌日に運転する前日は休肝日にするか、「一杯だけ」と決めて飲むようにしている。