教育改革も大きな柱の一つとなる。基礎自治体と道州では教育でつくる人間が異なる。道州では殖産興業に不可欠な人材を育成し、大学以上の教育に関するすべての権限を担う。それに対して人格形成をして、自立した生活ができる立派な社会人を育成するのが基礎自治体の役割だ。国家というものを全面に押し出さず、自分の育った地域、自分の家庭、自分のコミュニティを愛することから始め、最後はその全体となる地球村を愛する心を育成するのだ。

基礎自治体では、21世紀を生き抜くための知恵とマナー、責任と権限などをしっかり学ばせる。そのためには中学までの9年間の義務教育では不十分で、高校までを義務教育とすべきだと私は思っている。そして自立した社会人としての生活が送れる準備が完了した高校卒業時点(18歳)を成人とみなして選挙権など、その他諸々の権利と義務を付与するのだ。

高校が義務教育化されれば民主党が実現した「高校無償化」は政策として一貫したものになるし、「18歳成人」にすれば、安倍内閣の提案した国民投票法案の投票年齢を民主党の横槍で18歳に引き下げたこととも整合する。いい社会人をつくることが社会コストを下げる。基礎自治体が昔の農村コミュニティのような形に戻ることで、自治体が要するコストを下げることができ、最後はグレートソサイエティ(偉大な社会)へとつながってくるのだ。

このように統治機構を改革しようとすると、税制や教育改革をリンクさせて三位一体の改革が可能になるのだ。大阪には遠慮なく国と戦い、こうした新しい試みを実施する権限を奪い取ってもらいたい。また与野党が競ってそれを支援することこそ「政治主導」の初めての実例となる。

※すべて雑誌掲載当時

(小川剛=構成 AFLO=写真)