株価が暴落してどこまで下げるか分からない不安な時期には、PBRの下限値を確認して、「そろそろ底値付近だから、反転攻勢の買いを入れよう」といった投資判断に、ある程度の精度をもって応えてくれるはず。

株価が乱高下しやすい相場で絶対に守るべき2つの鉄則

また、配当をどの程度出すのか、自社株買いをおこなうのか等の株主還元方針も、定期的にチェックしておきましょう。

3年程度で更新されている中期経営計画の策定時に、大きく変更されるケースもありますので、株主にとって不利益な内容となっていないか、確認しておいて損はありません。

ただし、現在の世界情勢は株価が乱高下しやすい相場です。長期配当投資は、

① 長く保有すること、
② 長期にわたって積み立ていくこと、

で勝率を高める投資法なので、これから始める方は、株価の上がり下がりに一喜一憂せず、この2つを守って投資を行うようにしてください。

植物の入った瓶にコインを入れる女性の手元
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ここでは一覧表から「花王」「アステラス製薬」「ブリヂストン」「NTT」の4銘柄について紹介をしていきます。

本書内では17銘柄すべてを取り上げて解説していますので、興味のある方は本書もご参照ください。

抜群の安定性を誇る究極のディフェンシブ株

花王はトイレタリー業界国内首位で、生活必需品を提供していることから、その業績は極めて安定しています。中期経営計画「K25」で、株主還元政策として連続増配の継続を掲げていて、業績の安定性からもその実現性は極めて高いといえるでしょう。

それはつまり、投資元本に対しての配当利回りが上昇し続けることを意味します。

したがって、今現在、配当利回りが低いとしても、長期保有による配当利回りの上昇を見込んで投資するのも選択肢の一つということ。

花王は、抜群の安定性を誇る究極のディフェンシブ株と言えますが、その安定性ゆえに株価はなかなか安くなりません。株式市場全体が暴落している時でも相対的な下落率は低く、絶好の買い場が訪れることは極めて稀でしょう。

昔から、PERが20倍程度まで近づくことはあっても、下回ることはめったにありませんでした。

なので投資できる水準は、PER20倍~25倍程度、配当利回り2%を超えたくらいから検討すれば問題ないと思います。

減配なし、海外売上比率80%のグローバル企業

アステラス製薬は、2005年に山之内製薬と藤沢薬品工業が合併して発足しました。株主還元に非常に積極的で、発足以来、一度も減配をおこなうことなく、実質は累進配当(減配せずに利益成長にあわせて増配していくこと)となっています。