「使えないのに給料だけ高い」中高年が生まれる構造

今後も10年、20年と多数の中高年に高い給与を払い続けていったら、企業は立ちゆかなくなります。だから「45歳以上」に絞って、黒字で余裕があるうちに中高年を減らそうとしているのです。中高年が減れば、その分、若手の給与を上げられますよね。

西尾太『人事の超プロが教える 会社員 50歳からの生き残り戦略』(PHPビジネス新書)
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もちろん45歳以上だからといって、誰でもリストラされるわけではありません。黒字リストラの対象となっているのは、「パフォーマンスより年収が高い人」です。

自分では、仕事の成果と比べて「給与が低い」と思っていても、給与に見合った価値を出していなければ、「パフォーマンスより年収が高い人」と判断されます。

年功序列の企業は、成果や行動ではなく、年齢や勤続年数によって給与が上がるため、年収とパフォーマンスにギャップが生まれやすくなっています。

要は、「使えないのに給料だけ高い」中高年が生まれやすい構造になっているのです。

20代社員の2倍以上の価値を出しているのか

パフォーマンスに対して本当に適正な年収をもらっている人は、リストラの心配をする必要はないでしょう。しかし、そうでない場合はリストラの最有力候補となります。

会社の若年層に比べて高い給与をもらっているにもかかわらず、「給与が低い」と不満を持っている人は、改めて冷静に考えてみてください。あなたは本当に「あなたの年収の半分しかもらっていない20代社員の2倍以上の価値を出している」のでしょうか?

会社は社員の働きをシビアに見ています。会社とのギブ&テイクの関係性をはき違えている人や自身の成長を止めてしまっている人は、現在の給料に見合う価値を発揮できていない可能性が高く、真っ先に早期退職や黒字リストラの対象になります。

「定年まで逃げ切ろう」とか「今さら頑張っても」と思っている人は、特に注意してください。おそらく逃げ切れませんし、今から頑張らないと定年まで会社に残れません。

「給料が高い」と思われていることは、相当気にしないとまずいのです。

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