70歳定年制になる未来はすぐそこまで来ている

僕たち50代が社会人になった1980年代の中頃から1990年代の中頃にかけては、定年は55歳でした。僕は56歳ですから、当時なら定年退職している年齢です。

しかし今でも働いていますし、少なくとも65歳ぐらいまでは働くかなあと思っています。場合によっては、70歳になっても、さらにその先も働き続けるかもしれません(当社の社員からは、「きっと80歳になってもあいつは来るよ」と言われているようです)。

定年制度は、1998年に60歳まで延びました。2000年には「65歳にしよう」という動きが始まり、2006年に65歳までの雇用確保措置が義務化。2013年には希望者全員に対して65歳までの継続雇用が義務化(2025年まで経過措置中)。

2021年4月には、70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務になりました。これまでの流れを考えると、あと数年で義務化されるのではないでしょうか。

僕たちが70歳になる頃には、定年自体が70歳になっているかもしれません。社会人になった頃は、55歳が定年だったのに、途中で60歳になり、さらに65歳に延び、もうすぐ定年だなと思ったら70歳になる。我々50代は、なかなか定年になれない世代なのです。

あと20年働く前提でビジョンを考える

そして、65歳や70歳まで働くことができたとしても、一般的には給与が下がります。

現在の65歳までの雇用確保措置の方法としては、「継続雇用制度の導入」「定年を65歳にする」「定年制の廃止」のいずれかを雇用者側が選択することになっています。

多くの企業が選択しているのが「継続雇用制度」です。これは60歳で定年とし、その後、本人が希望すれば、引き続いて雇用する「再雇用制度」のことを言います。

継続雇用になったとしても、再雇用として給料は下げられます。7割程度になる会社が多いですが、5割という会社もあります。

定年延長にともない、年金がもらえる年齢も延びています。現在は64歳ですが、2025年には65歳になります。今後もさらに延びていくことが予想されます。

定年後は働かなくても十分暮らせるだけの蓄えがある人はともかく、「すぐにでも辞めたい」と思っていても、働かざるを得ない場合もあるかもしれません。

僕たち50代は、あと15年、20年、あるいはもっと働き続けることになるかもしれません。それを踏まえたうえで、今後の働き方、キャリアビジョン、ライフビジョンを考えていくことが、50代における重要なテーマとなります。