「自分の給料は低い」と不満を感じている50代は危険だ

次に、20~40代の人たちに「あなたの職場における50代の社員の給料は、仕事の成果と比べて、適正だと思いますか。」と聞いてみました。また、50代の社員100名にも、同じ質問をしてみました。

50代社員の給料は、仕事の成果と比べて「低いと思う」と答えた20~40代の回答は、10.3%。一方、50代は38.0%。仕事の成果と比べて「自分の給料は低い」と考えている50代が約4倍もいることになります。これは危険ですよ。

また、50代社員の給料は仕事の成果と比べて「高いと思う」と答えた20~40代の回答が22.7%なのに対して、50代で「高い」と答えた割合は半分以下の9.0%。

50代の給与を仕事の成果と比べて「高い」と考えている20~40代と、「低い」と考えている50代の認識のズレが浮き彫りとなる結果になりました。

自分の年収は適切かどうか。これは50代以降の働き方を考えるうえで、非常に重要なポイントです。なぜなら、周囲から「給与が高い」と思われている人ほど、「黒字リストラ」の対象になる危険性が高いからです。

45歳以上の中高年をターゲットにする“黒字リストラ”

コロナ禍前の2018年頃から大手企業が「黒字リストラ」と言われる施策を導入し始めました。2019年には、キリンビール、コカ・コーラ、富士通、朝日新聞、エーザイ、協和キリンなどが、黒字経営にもかかわらず「早期退職の募集」を実施しました。

2020年はコロナ禍も相まってリストラは2倍に増え、2021年はさらに前年の1.7倍に増加。日本たばこ産業、KNT-CTホールディングス、LIXIL、オリンパス、アステラス製薬、藤田観光などでも実施され、大手に限らず「早期退職」または「希望退職」と呼ばれる制度によって、1万人以上が退職しています。

黒字リストラとは、僕たちの世代を狙い撃ちにしたリストラです。コロナ禍によって経営が悪化した企業は別として、ほとんどの企業で「45歳以上の中高年」をターゲットにしていることが共通しています。

なぜ「45歳以上の中高年」が対象なのかというと、ずばり年収が高いからです。

日本企業は、ほとんどが年功序列を導入しています。年齢・勤続年数とともに給与が上がり、55歳から60歳ぐらいが最も高くなります。この世代は人数も多く、さらに定年も延長されようとしています。