※本稿は、勝浦雅彦『つながるための言葉 「伝わらない」は当たり前』(光文社)の一部を再編集したものです。
人生で初めて他者から明確に否定される……それが就活
「ねえ、俺のどこが悪いんですかねえ。普通にやって、そこそこの大学に入って、それなりにやってきて、なんでこんな目にあわなきゃならないんすかねえ」――Aくんは力なく笑った。
人生で初めて他者から明確に否定される(ように感じる)としたら、それはいつでしょうか。おそらく就職活動でしょう。
高校・大学受験などにも面接はありますが、特殊な学校や推薦を除いて基本的には紙の上での学力メインでの選抜です。しかし、就職活動になるととたんに同世代の競争相手と同じテーブルに並べられ、出身学校のレベルだけではなく、意欲とか、論理性とか、ポテンシャルのような曖昧な基準で判定されていくことになります。
冒頭の世を儚んだ大学生は誰もが知る有名大学の文系学部に在籍していました。そして就活において希望企業20社に全落ちし、就職活動そのものをやめてしまうことになります。
後述しますが「なぜ彼がそうなったのか」を紐解いていくと、それは妥当な結果であり、同時に準備とやり方によっては希望を叶えることもできたであろうし、少なくとも後ろ向きに就活から退場していかなくてもよかったはずだと私自身後悔しました。
本書は「自分を言い表し、他者とつながる」ことを目的としています。多くの人にとって初めて自分自身について考え、否応なしに自分の言葉で他者と相対しなければならないのが、就職活動。
本稿ではそんな就活をテーマにしますが、これは人材流動性が高まっていく日本社会の中で、転職にも応用が利くものです。なぜなら、就活も転職も「自分の棚卸しを行い、それを整理して言葉にする」プロセスを踏まなければ成功しないからです。
まあ、要は「自己分析」が大事だという話なのですが、「なーんだ、自己分析なんてやっているよ」なんて思ったあなた! 本当にそのやり方は正しいですか? 人はあなたを理解してくれていますか?