一流のアスリートを招いたイベントで「フードドライブ」も併設

伊藤さんを中心とした宮代町が企画・運営するこうしたイベントには共通点がある。それはスポーツイベントのゲストに一流のアスリートを口説いて招いていること、さらにそのイベントで「フードドライブ」を併設していることだ。

フードドライブは、参加者などに家庭で余った食品を寄付してもらい、フードバンク・福祉施設を通じて貧困家庭に届けてもらうボランティア活動だ。

仕事中の伊藤遼平さん
筆者撮影

伊藤さんが今、実現に向けてエネルギーを注いでいる企画のひとつが埼玉県の10のプロスポーツチームで作る「プライドリームス埼玉」との事業を宮代町で開催することだ。

このイベントでは、スポーツの素晴らしさを伝えるとともに、「スポーツ王国・埼玉」の実現に貢献するPR活動を行っている。青少年の健全育成、自治体のスポーツ振興の活動にも協力している。参加するチームは下記の通りだ。

野球・埼玉西武ライオンズ
サッカー・浦和レッズ
サッカー・レッズレディース
サッカー・大宮アルディージャ
サッカー・アルディージャVENTUS
バスケット・さいたまブロンコス
バレー・埼玉上尾メディックス
ソフトボール・戸田中央メディックス埼玉
ハンドボール・大崎電気ハンドボール
サッカー・ちふれASエルフェン埼玉
(以上10チーム)

各チームは通常、ホームタウンの活動が主だが、ファンを増やすには本拠地以外でもファンを増やしたい。一方、ホームチームが存在しないスポーツ空白区の自治体側もスポーツを媒介として市民に交流や楽しみの場を提供したい。

双方の思惑を読み取った伊藤さんは「では、宮代町でいかがでしょうか」と名乗りを上げることにしたのだ。

でも、ただ来てくださいと招致しても簡単には通らない。そこで、伊藤さんは「スポーツ×社会課題解決」をテーマにして、地元でいつも実施している催しと同じように、スポーツだけでなく、フードロス対策や貧困世帯支援を呼びかけることをイベントの柱にすることにした。

伊藤さんは昨夏、担当者が集結した「プライドドリームス埼玉」の会議でこうしたスポーツ体験と貧困支援のコラボ案をプレゼンテーション。その熱意が伝わって誘致が正式に決定した(2022年3月6日に実施予定だったが、コロナ禍のため延期)。