コンパクトカーにしては力強い最高出力

さらに、ノート/ノートオーラに搭載される「e-POWER 4WD」は、前輪を駆動する電動モーターに加えて後輪にも電動モーターを備えた前後ツインモーター方式を採用する。

ここは「アウトランダー」や「エクリプスクロス」が搭載するPHEV systemとも同じだが、e-POWERの後輪モーターは三菱とのアライアンスにより、アウトランダーPHEVとの共通部品も多く、最高出力は68PS/100N・mと車両重量1340kgのコンパクトカーにしては力強い。

ちなみにアウトランダーPHEV(最軽量モデルで2050kg)の後輪モーターは136PS/195N・m、型式こそ違うがエクリプスクロスPHEV(最軽量モデルで1900kg)の後輪モーターは95PS/195N・mだ。

ところで、容易に想像がつくように氷上は極端に滑りやすい。乾燥したアスファルト路の摩擦係数(グリップ力を示す目安のひとつ)を最大で1とした場合、ジャリ道が0.5程度、雪道が0.35程度、そして氷上である氷路面は0.1程度。つまり氷上は、普段走らせている路面の10倍も滑りやすい。さらに日光を受け路面の氷が溶け出しうっすら水がのってくると、スノーシューズを履いていたとしても、まともに歩けない。

安定した車両挙動で氷上路を突き進めた

こうした状況を踏まえ、ノート/ノートオーラに設定された新しいe-POWER 4WDで女神湖(長野県にある人造湖)に設けられた氷上路コースを試乗した。氷上路コースは一見すると雪が乗っていてグリップしそうだが、手で雪をさらうと氷が顔を出すシビアなコンディション。日産渾身のe-POWER 4WDは「走る・曲がる・止まる」でどんな走行性能をみせてくれるのか?

女神湖の氷上は一面雪に覆われていた
画像提供=日産
女神湖の氷上は一面雪に覆われていた

まずはノート e-POWER 4WDの「走る・曲がる」を試した。タイヤのグリップ力を最適に保つ車両挙動安定装置「VDC」をはじめ、カーブ走行時の安定性を向上させる「インテリジェント トレースコントロール」など、電子サポート機能をすべてオンにしてアクセルをじんわりと踏み込んでみる。

すると、一瞬の前輪スリップのあと後輪がグッと車体を押し出し、安定した姿勢のまま力強く発進する。そこからペダルの踏み込み量を深くすれば加速度も高まっていく。

カーブではインテリジェント トレースコントロールがステアリングの切り込み具合に応じて制御を強弱させ、外側にふくらみやすくなる滑りやすい路面でもほぼイメージ通りにカーブを通過する。

このとき、メーターには電子サポート機能の介入を示すオレンジ色のランプが点滅して滑りやすい路面であることを実感するが、それでもアスファルトの10倍滑りやすい氷上路を走らせているとは思えない安定した車両挙動で突き進む。