お互いに痛くなった手では、もう一度握手するのは難しいかもしれない。でも、ゆるく握っていれば、一度離れてもまた手を握ることができると思うんだ。いま、みーみちゃんは仲間外れにされてとても悲しいと思うんだけど、今は自分の手を痛めないためにも、握手している手をゆるめてしまっていいと思うんだよね。もしかしたら仲間外れは勘違いだったっていうパターンもあるかもしれないし。よしおは以前そういう事が実際にあったよ……(笑)
ベストよりグッドな関係を
ところで、みーみちゃんの言う「ベストフレンド」ってどんな存在かな? ベストには「最上級」っていう意味があるね。つまり、「一番」ってこと。きっとみーみちゃんにとってその友だちが一番の友だちなんだろうね。「一番の仲良し」って思える友だちがいるのって素晴らしいことだ! でも、「一番」っていうのは一人しかいないから、数が限られてしまうことになる。それに、今みたいな状況になったときに息苦しくなってしまわないかな?
そこでよしおがおすすめするのは、「ベスト」よりも「グッド」な関係。つまり「グッドフレンド」だね。みーみちゃんは、これからたくさんの人に出会っていく。今ベストを決めてしまうとこれから先出会う人がベストになるのは難しいかもしれない。それに、お互いにベストだと思っているか、相手の心の内面はわからないから、不安になってしまうこともある。お互いに本当は「ベスト」だと思っていたとしても、お互いに不安になって「私たち、ベストフレンドだよね!」っていう確認作業がたびたび必要になってしまうかもしれない。
でも、グッドな関係なら数に限りはないし、お互い確認しなくてもいい。とっても気楽なんだ。みーみちゃんの友だちを思う気持ちはとっても素敵。でもその「ベストフレンド」っていう気持ちがあるからこそ、悲しい気持ちになってしまうのかな、とよしおは思ったよ。
友だちとの関係って、ずーーーっと同じ距離でいるほうが難しいんだ。頭のなかに、広くて大きな海をイメージしてみて。その海で、一人ひとりが別々のたらいに乗っているとするでしょ。潮の流れや風の向き、波の立ち方でたらいが流されていく。そのとき、友だちが乗ったたらいが近くに寄ることもあれば離れることもある。そこで離れないように相手のたらいを自分のたらいの近くに無理やり寄せようとしたり、相手のたらいに近づこうとしたりすると、自分も相手も落ちたり溺れたりする危険があるんだ。潮の流れや風の向きは自分で操作できない部分。それぞれの家庭環境や興味を持つものなんかが、潮や風ということだね。