「なぜかを突き詰める」が幸運の扉

例えば、失恋をした時に、自分を振った相手を「あんな女」と言ってけなす男性がいる。しかし、無意識では振られた相手のことをいまでも好きでいる。新しい女性と付き合って、「こんないい人はいない」といくら言っても、別に好きなわけではない。これでは決して幸せになることはできないことは理解できると思います。

加藤諦三著『不安をしずめる心理学』(PHP新書)
加藤諦三著『不安をしずめる心理学』(PHP新書)

もちろん、失恋はつらい経験です。その経験は悲しいが、その人が成長していく上で、一つの通過点だともいえます。そのように捉えて、不安の積極的な解決をする人は、「では、なぜこの恋愛は破綻したのだろう?」と考える。つまり意識領域の拡大には、「なぜ?」という問いが不可欠なのです。幸運の扉は、「なぜ?」という問いから生まれることを覚えておいてほしいと思います。

なぜ、あの人と別れることになったのか。
なぜ、いま自分はこんなに苦しいのか。
なぜ、自分はこんなに不愉快なのか。
なぜ、自分はこんなに憂鬱なのか。
なぜ、自分はこんなに依存心が強いのか。

「なぜ」ということを本気で考えて、自分の無意識に気がつくことが、本当の不安の解決につながるのです。その結果、自分に向き合う力が備わります。

野球が下手だと認めるのに30年かかった

ある人が「自分は野球が下手だと認めるのに30年かかった」と言っていました。30年がかりの意識領域の拡大です。野球が下手だと認められる人は、そんなことを認めたからといって、自分の尊厳が失われないと感じているから、それを認めることができるのだろう。

野球が下手でも、「俺は下手だから」と言ってみんなと応援することを楽しんだり、球ひろいをして楽しく過ごす人は、自分を受け入れているし、またそれゆえに素直に他人を認めています。

自分の劣等を一つひとつ認めることで、一つひとつ成長していきます。そういう人は自分の人生に対する信頼、自分に対する信頼を持っている人でしょう。そしてそれだけに人生のさまざまな豊かさを味わうこともできる人なのです。