数多くの不登校の人たちの話を聞くと、つらいのに学校へ行っているときが一番大変だったとみなさん振り返ります。でも、そこを越え、学校から一時的に距離をとると、必ず心と体が回復する兆しが見えてきます。だから今が一番つらいときだと思って、親は子どもに向き合うしかありません。
不登校は「一番苦しい時期を脱したサイン」
ただし、自傷や他害、いじめを受けているなど、明らかに子どもが限界を超えていそうな場合は、保護者の方が「ドクターストップ」をかけてあげてください。
毅然とした態度で「あなたが心配だから学校に行かせられません」と言って、しばらく休ませるのがいいと思います。休んでいる間に、精神科医やフリースクールなどに連絡をして、第三者の意見も聞いていただけたらと思います。
驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、学校を休み始めた瞬間から、心の回復が始まります。多くの方がイメージするのは、学校に行かなくなった日から心の状態が悪化していく様子かもしれません。でも、子どもにとっては、学校へ行かないことによって、一番の危機を脱したことになります。
動物は危険を察知すると、本能的にそれを避ける、逃げるという行動に出ます。苦しいのにその場から離れられないというのが一番危険だからです。
学校へ行っている間は、学校から離れたいのに離れられず、一番危険な状態です。だから、学校から距離をとった瞬間から、回復が始まります。
学校に行かなくなってからも、大変な日々は続きますが、心の回復は始まっているのです。
まずは心と体を休ませる
学校を休んだ直後は、眠れなかったり、いら立ちが止まらなかったりと苦しい状態になります。しかし、それは、「膿みを出す」という時期です。不登校になったから苦しいというよりは、学校を休むまでに受けた傷が苦しい、深刻であったということを意味します。
もし学校を休んで寝てばかりいるとしたら、それは極度の緊張で疲れ果てた体を休めているということです。十何時間も眠り続けることもあり、心配になるかもしれませんが、これは安心しているからこそ眠れているのです。
今まで蓋をしていた心の傷が一気に開くので、子どもの意図とは関係なく、朝は全然起きられない、だるいといったさまざまな症状が出ます。心の回復期は、子どもの体調を優先して、無理に生活リズムを立て直そうとせず、できるだけ、子どものペースを尊重してあげてほしいと思います。