声が大きく、出勤時間が早く、食事が早い…
リーダーシップを発揮して、人をぐいぐい引っ張っていく人は声が大きいことが多い。相手の目を見て、自信に満ちた声ではっきりと話す。これに対して、声が小さい人は覇気が感じられず、頼りない傾向にある。
出勤時間が遅い人は、何事につけても仕事がルーズでミスも多くなりがちだ。逆に早く出勤する人には心にゆとりが生まれる。このゆとりが仕事の成否に大きく影響するのだ。将棋や囲碁の世界でも先手必勝というし、相撲でも立ち合いで勝負が決まる。先んずれば人を制す。ビジネスの世界も同じだ。
三つ目の食事の早さはどうか。これも一流の人間になるための条件といえる。何よりも早飯の人は仕事も早い傾向がある。競争社会を生き抜くためには、物事を早く処理できるということが重要なポイントだ。
さらに、食事が早いということは健康な証拠でもある。胃腸が丈夫でなければ早飯には耐えられない。いくら頭がよくても、しょっちゅう病気で休まれては戦力にならない。
「大声試験」と「早飯試験」を実施した結果
このような発想から、まず行ったのが「大声試験」である。
ある文章を学生に読ませて声が大きい順番に採用していくというもので、自信をもって堂々と読んでいるかどうかも選考の基準となった。
また、「早飯試験」も行った。仕出し弁当屋さんにスルメや煮干しをはじめ、よく噛まないと飲み込めないようなおかずばかりを入れてほしいと注文し、この弁当を十分以内に食べた学生は全員合格と決めた。
同じように、マラソンを最後まで走りきった者から順に採用する、試験会場に早く来た者から順番に採用するなどといった型やぶりの採用試験で新卒者を採用して、世間のひんしゅくを大いに買ったものだ。
しかし、現在、日本電産グループの屋台骨を支えている人たちを見ると、このときに採用した人材がその後もすばらしい成果を挙げてくれていることがわかる。
なかでも成果が挙がったのが「早飯試験」で、入社してからの仕事の成績と早飯試験の順位を比較してみると、ほぼ一致していたという後日談もある。