実社会で成果を挙げていく人には、どんな共通点があるのか。日本電産の永守重信会長は「仕事の優秀さは、卒業した学校のブランドや成績とはまったく相関関係がない」という。23年ぶりの自著『成しとげる力』(サンマーク出版)より、永守氏の考える「仕事ができる社員の3つの共通点」を紹介しよう――。
フォーマルなビジネススタイル
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型やぶりの入社試験がなぜ功を奏したのか

創業当時に苦労したことの一つに、人材採用の問題があった。会社をおこして数年の間は、新卒採用を計画しても、まったく人が集まらなかった。

会社訪問の当日、十人ぐらいの学生には来てもらえるだろうと、十人ぶんの寿司を用意して待ったが、日が暮れても一人も現れず、夜になって社員たちで黙々と寿司をつついた苦い記憶もある。

そこで、考えた。一流大学で高等教育を受けた人材が来てくれないのなら、集まってくる人たちのなかから、見どころのある人材を発掘して、私たちの手で一から育てよう。学校の成績を度外視した採用試験で、磨けば宝石のように光る原石を探そう、と。

では、どのような人材が磨けば光る能力をもっているのか。私は、それまでの会社員生活を振り返り、「この人は仕事ができるな」と感じた上司や同僚たちの顔を思い浮かべながら、一つの結論に達した。

それは、声が大きく、出勤時間が早く、そして食事が早いという、三つの共通点があるということだ。