離婚件数は減っても、離婚する割合は増えている

最新の2020年人口動態調査によれば、離婚数は19万3253件。1995年以来久しぶりに20万件を割り込みましたが、それはそもそも婚姻の絶対数が減っているからであり、決して離婚が減少基調にあるということではありません。離婚を婚姻数で割り戻した、いわゆる特殊離婚率は37%と、むしろ2019年より増えています。

離婚届
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特殊離婚率は指標として正しくないという論者もいますが、私はそうは思いません。2000年以降の累計で見ても、この20年間で約1432万組が結婚し、約511万組が離婚しています。実際、35.7%の結婚が壊れていることになります。まさに、「3組に1組は離婚している」のです。

では、離婚の原因とはなんでしょうか?

離婚の多くは協議離婚なので、正確な資料はありませんが、司法統計から、協議離婚以外の離婚申し立て理由を見てみると、男女合わせた総数では「性格の不一致」が1位になります。芸能人などの離婚会見でもよく使われる、いわゆる「あたりさわりのない理由」です。もちろん、本当に「性格の不一致」が原因の夫婦もいるかと思いますが、より詳細に見ていくとより実態が明らかになります。

司法統計では、離婚申立人の言う動機のうち主なものを3個まで挙げる方法で集計しています。それに基づき、夫と妻それぞれの離婚理由を分類して作成したグラフを見てみましょう。経年の違いも見るために、2000年と2020年の実績を比べてみることにします。

まずは、20年前の2000年の状況をおさらいしておきましょう。

夫婦別離婚申し立て理由<2000年>

妻の理由は「性格の不一致」から「金銭問題」へ

夫妻ともに1位は「性格の不一致」ですが、夫の63%に対し妻は46%と夫婦間では大きく差があります。しかも、夫側の離婚理由の2位は「異性関係(いわゆる不倫や浮気問題)」の19%、3位「家族との人間関係」の18%と、1位と比べて割合が少なくなっています。一方で妻側の理由は、2位が「金銭的問題」で39%もあり、1位の46%とほぼ差がありません。「金銭的問題」とは「夫が働かない・浪費する」といった問題です。3位には「身体的暴力」が31%となっています。

これを見ると、20年前は、夫の離婚理由は「性格の不一致」一極集中で、全体的にふわっとしていますが、妻の離婚原因は「金と暴力」という問題が大きかったことが分かります。