単純な考えを、真っ直ぐ追求する

便利さを見つけるって、大変なことのようですが、そんなに大げさなことではありません。毎日の生活の中でも、「もっと便利に」と思うネタは至る所にあります。

例えばホテル。建てるとき、すべての部屋の壁にモニターを埋め込んでおく。それでボタンを押せば、インターネットでどこにでも繋がる。現代のテクノロジーを考えれば、いくらでもできますよね。

これはいま思い付いた単純な例えですけれど、そんなことは考えればいくらでも出てきます。じゃあ、なぜそれが世の中にないのか。ただ、やらないだけでしょう。

自分のアイデアが絶対に受け入れられる自信があるということではなくて、「こういうものがあったら便利だ」とか、「こういうふうにしたほうがいいんじゃないか」という単純な考えを、真っ直ぐ追求するということだけです。

道に木が倒れていたら、自分で取り除きたい

道に木が倒れていたら、通行の邪魔になるでしょう。その木を自分で動かせるんだったら、端に寄せる。またいで通ってもいいけれども、私の場合は、やっぱり戻って自分で木を取り除くと思う。

自分が不便だと思ったことは、ほかの人だって不便と感じるわけです。一つずつ「こうしたら便利だろう」と考えてやっていれば、自分が思ったほどではないにしても、いまよりは便利になるはずです。それを続けていたら、世の中が不便になるということはないでしょう。

それがお客様にとって、悪いことなわけがありません。

「お客様のために」ではなく「お客様の立場で」考える

私はいつも、「お客様のために考えるのではなく、お客様の立場で考えろ」と言ってきました。

「お客様のために」は商品やサービスを供給する側からの目線です。それでは押し付けになってしまう危険がある。

自宅に来客があったとします。もてなそうと頑張って料理をする。しかし、相手は食事を済ませてから来た。そのときに「せっかくあの人のために作ったのに」と考えるのは、作り手の勝手な都合です。お客様が空腹なのかどうか、お客様の立場で考えなければいけないんです。