自分で返せる金額は「年収の20%」くらいまで

借金したとき、自分で返すことができる金額は、「年収の20%」くらいまで、と私は考えています。銀行は「返済率35%(収入の35%)」まで貸してくれます。でも、こんなに借りてしまったら、生活は苦しくなるに決まっています。

住宅ローンの支払い額を低く抑えるために、年収の20%と最初に決めれば、購入できる物件の価格が自動的に決まります。

年収500万円の人であれば、住宅ローンの支払いは年間100万円。毎月では8万3000円になります。仮に住宅ローン(35年)の金利が1%だとすると、だいたい3000万円の物件になります(ネット上の住宅ローン・シミュレーションに数字を入れて確認してください)。

貯金や親からの援助などで頭金を用意できる人は、その額をプラスします。たとえば、頭金500万円が調達できたとすれば、価格3500万円の物件を探すことになります。

ところが、ほとんどの人は、物件の価格を決める前に、物件を先に見に行ってしまいます。「やっぱり、タワーマンションがいいわ」と奥さんにせがまれて、オープンルームに行ってしまうのです。

実際に見ると、豪華なエントランスや海が見える眺望に舞い上がってしまう。住宅展示場には、かならず不動産業者が立っていて、こういいます。

「ためしに35年の住宅ローンを組んだら、毎月の返済がいくらになるか、調べてみましょうか」

そうすれば、お客様が飛びつくことを知っているからです。「年収はおいくらですか? 奥様も働いていますよね?」と聞かれ、業者が電卓を叩いて「あ、充分買えますよ! 私にお任せください」となるわけです。

通帳と1万円札
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

「借りられる金額」と「返せる金額」は違う

しかし、「お金を借りることができる」と、「お金を返すことができる」は、まったく違います。借りられる金額を聞くと「自分はその額を返せるんだ」と勘違いしがちですが、これはとても危険です。

20代の若いころから家計の管理ができていれば、返せるかどうか感覚的にわかります。住宅費は収入の何パーセントくらいまで、と頭に入っているからです。

ところが、家計管理をしてこなかった人は、物件の魅力と不動産業者の甘い文言に負けて、自分の身の丈以上の物件を無理に購入してしまうのです。

夫婦2人の共稼ぎだと、不動産業者は2人の収入を合算してローンを組むことをすすめてきます。

でも、子どもが生まれて、もし奥さんが仕事をやめれば、奥さんの収入はゼロ。結局、返せなくなってカードローンを借りる。その支払いを、また別のカードローンから借りてくる。そんな悪循環に落ち込んで、最終的に破綻してしまった人を、私はたくさん見てきました。

そんな失敗をしないために、業者のいうことを聞きすぎず、自分で返すことのできる金額を、確実に把握しておく必要があります。

<答え>
ボーナス払いは危険! ローンは年収の20%までに抑え、一律平均で返済しよう。