ルーズヴェルト民主党政権とコミンテルンの関係
見直されているのは、真珠湾攻撃に至る経緯だけではありません。
「第二次世界大戦で問題なのはソ連の秘密工作ではないのか。またその秘密工作に引っ掛かったルーズヴェルト民主党政権の責任も追及すべきだ」として、『スターリンの秘密工作員』は、次のように指摘しているのです。
《今や相当な量に達したデータが示しているように、強力で邪な敵が、一九四〇年代半ばまでにアメリカ政府(およびその他の影響力のあるポスト)に無数の秘密工作員とシンパを配置することに成功した。これら工作員たちは政府の中でソ連の国家目的に奉仕し、アメリカの国益を裏切ることができた》(山内智恵子訳)
このようにソ連とコミンテルンは、相手の政府やマスコミ、労働組合などにスパイや工作員を送り込み、背後からその国を操る秘密工作を仕掛けてきたのです。この秘密工作を専門用語で「影響力工作」といいます。
ヴェノナ文書の公開と、ソ連などによる秘密工作が国際関係、アメリカ政治に与えた影響について研究が進んだことによって、アメリカでは、第二次世界大戦に対する評価が今、大きく変わりつつあるのです。
歴史は絶えず検証され、機密情報の開示や研究が進むにつれ見直しも行われています。インテリジェンス・ヒストリーと呼ばれるジャンルが、これまでの歴史認識をアップデートしているのです。今の国際社会を読み解く上でも重要です。
一方で、日本人はいまだに従来までの歴史観にとらわれています。拙稿『日本人が知らない近現代史の虚妄』が近現代史を学ぶ一助になればと考えています。