主演、脚本、演出の一人三役だったのに大失敗…
1位 オダギリジョー『オリバーな犬、(Gosh!)このヤロウ』(NHK)
鑑識課で警察犬の「ハンドラー」(池松壮亮)には憂いがある。相棒の犬・オリバーが自分にだけ「しゃべるおっさんに見える」からだ。このオリバー役を演じたのが着ぐるみのオダジョー。
実は脚本と演出も彼が手掛けた「オダジョーワールド」。ノワール&ギャグ&シモネタ、いきなりオンステージのショータイムなど、やりたいことを全部乗せした割に、締まりのない全3話。お祭り騒ぎの責任は重い。
もちろん、すごいメンツを一堂に集めたオダジョーの人望には拍手する。麻生久美子に坂井真紀、永瀬正敏、佐藤浩市、松重豊、國村隼に火野正平、柄本明に橋爪功まで。
よくもまあこれだけのメジャーな名優をチョイ役やふざけた役として呼べたなと感心するし、個人的に好みである渋川清彦や宇野祥平、芹澤興人や我修院達也といった味濃いめのバイプレイヤーも勢ぞろい。
さらには細野晴臣や箭内道彦、鈴木慶一とクリエイターやアーティストまで。あ、妻の香椎由宇も久々に観たわ。
しかしだな、役者をじっくり見せる余裕のあるNHKにおいて、出番短し・見せ場なし・ヤマ場迷子……。いや、主役が犬でおっさんという発想は面白いが、もうとっちらかりすぎて。着ぐるみでスケベ犬やっとる場合じゃなかろうに!
ここ数年、数多くはないけれど、『おかしの家』『重版出来!』(TBS系)、『大豆田とわ子と三人の元夫』(関西テレビ系)と脇でも記憶に残る好演が続いたし、監督作の映画『ある船頭の話』も素晴らしかった。
それだけに、顎が地面につくほど呆れて、肩甲骨が地面につくほど落胆した。期待しすぎた私も悪い。
今後、NHK朝ドラ『カムカムエヴリバディ』で暗躍するようなので、役者としてのリベンジを待つ。脚本は本職の人に少なくとも監修とテコ入れをお願いしておくれ。
もちろん、他にもモヤモヤした人や棒演技に呆然とした人は多々いるが、原稿に書くほど思い入れがないもので。
そんなこんなで、来年も手ぐすね引いてミスキャスト&期待外れをお待ちしております。