どれを選んでも最終的には同じ

その意味において、たとえば大企業に就職するか、ベンチャーに就職するか、あるいは海外赴任するかなどと悩むかもしれませんが、どれを選んでも最終的に同じだろうな、というのが私の結論で、真剣に取り組んでいればおのずと納得できる生き方になると思うからです。

午堂登紀雄『「やりたいこと」が見つかる思考のヒント』(学研プラス)
午堂登紀雄『「やりたいこと」が見つかる思考のヒント』(学研プラス)

たとえば「プランド・ハップンスタンス・セオリー」(計画された偶然によるキャリア形成)というアメリカで提唱されたキャリア理論で言われているように、人のキャリアのほとんどは偶然で決まります。

私自身、自分が不動産分野で起業するなどと考えたこともなかったですし、著者として本を執筆するとは予想すらできませんでした。インターネットがビジネスの主戦場になるとも思っていませんでした。

時代環境が変わり、技術やプレイヤーが変わり、出会う人も関わる人も変わるし、離れていく人もいて、それは自分ではどうにもならない。

要するに、将来どうするかを計画しても、計画通りにはならないということです。ただ、大きな川の流れの中で、偶然の出会いや別れがあったに過ぎません。

適職診断はあてにならない

そういった流れを無視しピンポイントでしか計測出来ない「やりたいことチェックリスト」や「適職診断」などはあてにならないのです。

もちろん、人生の中では「このままじゃいけない」と危機感を持つこともあるでしょう。そんな場面では、目の前の状況に抗うこともある。

また、何かにつかまらないと大きな波に飲み込まれることもあるし、違う川に乗り換えた方がいい人もいるかもしれない。

私も就職先が決まらず大学を卒業したのち、「フリーターのままじゃないけない」と就職活動をしましたし、「この会社ではもうやっていけない」と挫折して逃げ出したり、「このままでは成長しない」という危機感で転職をしたりしてきました。

しかし、そういったあれこれも、結局は大きな川の流れに乗っていたということなのかもしれません。転職や起業も、自分の心の声に従い、自然の流れに身を任せた結果だったのではないかと思うのです。