フジテレビ系列、テレビ東京のドラマに良作が多かった
5位 中村ゆり『ただ離婚してないだけ』(テレビ東京系)
夫(北山宏光)が自分の不倫相手(萩原みのり)をうっかり殺してしまい、尻拭いをする妻の役。
尻拭いどころか完全に手綱を握る強さ。恐怖と罪悪感が消え、スイッチが入った瞬間の凄みったらもう!
いくつもの修羅場を越えて、タイトルの意味がわかる最終回まで、2度、いや3度、中村は変化していくのが見ものだ。
4位 広瀬アリス『知ってるワイフ』(フジテレビ系)
家庭運営に非協力的で無神経な夫に対する怒りが絶品。
全国の妻・母たちから共感と賛同の嵐だった。怒りだけでなく、愛が一方通行という悲しみも伝わってきた。時間を行きつ戻りつする物語の中、女子高生から独身時代、出産後までを緩急つけて演じた点も評価したい。
ちょっと振り返ってみると、フジ系とテレ東の作品が多い。多すぎる。
キャスティングのセンスがいいのか、ドラマの中で描く女性像が心地いいのか。
男性部門は圧倒的にNHKが多かった。要するに「刑事・警察・医者」というド定番は、男社会過多であまり好きではないってことだ。
ただ、『相棒』(テレビ朝日系)では昨年、捜査一課に女性レギュラーが初めて配属された。元白バイ隊の篠原ゆき子には、ぜひもっと見せ場を作ってほしい。なんなら右京さんの新相棒は女性でもいいと思っている。ということで、ベスト3を。
今年は貫地谷しほりの当たり年だった
3位 貫地谷しほり『顔だけ先生』(東海テレビ系)、『珈琲いかがでしょう』『神様のカルテ』(テレビ東京系)
貫地谷は今年当たり年。貫地谷イヤーだ。
『顔だけ先生』で魅せたコメディ筋肉は絶品で、八嶋智人と見せた掛け合いは高速もちつきのような快感。推しを語る姿は熱く、ファン心理の本質をがっつり掴む。
逆に『珈琲いかがでしょう』では、気が付いたらベージュの衣類ばかり選んでしまう無難で没個性な女。自然体で女のリアリティを訴える技術たるや。
『神様のカルテ』では入院を拒む末期がん患者役。幼い娘を残して死に向かう無念と覚悟を決めたまなざしは、涙を誘った。お涙頂戴の病気モノは好みではないが、貫地谷だと涙腺は確実にゆるむよねぇ。