純粋な不動産投資ローンは無理でも、できることはある

こんな「宝の山」を前にして、日本の銀行は、ただ指をくわえているだけなのだ。理由や背景はともかく、まったくもってビジネスセンスがないと言わざるを得ない。

日本だけでなく、世界においても「富裕層ビジネスを強化する、大切にする」とお題目のように唱える金融機関は多いが、実態は、まったくマーケティングが的外れであったり、肝心の商品やサービスがなかったりで、空振りが続いている状態だ。

ローン商品がなく、ローンを実行できない事情は分かった。それでも普段アクセスできない顧客とのリレーションを作る絶好の機会には変わらない。「パークハイアットニセコHANAZONOレジデンス」の事例のように、対応するローン商品がないのであれば、例えば、不動産販売会社とタイアップして、資産運用や相続・事業承継を中心としたシニア・富裕層向けサービスをパッケージとして提案し、インセンティブをつけて顧客を囲うことも可能ではないだろうか。

肩を組んで歩くシニアカップルと金の豚の貯金箱
写真=iStock.com/AlexSava
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ニセコなど、一部の高級リゾートの不動産は「プレミアム価格」であり、不動産価値というよりブランド品に対する評価となっている側面もあり、純粋な不動産投資ローンとしての貸出審査が難しいという点は理解した上で、日本一の不動産の沸騰地で、地元の地銀やメガバンクによるローン商品の展開を改めて期待したい。

絶好の収益機会をみすみす逃している

なお、ニセコだけでなく、北海道ではルスツや富良野など、本州では軽井沢、八ヶ岳、白馬、箱根、伊豆といった高級リゾートなどにおいても、セカンドハウスローンなど、地銀にとっての潜在的なビジネスチャンスはあるはずである。

杓子定規な貸出規定に縛られ、リスクもリターンもとらない経営・営業では、しょせん、富裕層ビジネスの取り扱いは無理なのかもしれない。まさしく、顧客目線と収益目線の欠如と言わざるを得ない。

「あそこ(ニセコ)はバブルだから、ローンは怖くて出せない」「いずれ(価格)崩壊するから、お手並み拝見」といった、負け惜しみやもっともらしい解説や言い訳を聞くことはあっても、「積極的に対応したい」という声はなかなか聞こえてはこない。

地域や社会の成長にほとんど関与せず、絶好の収益機会をみすみす逃す地銀の存在意義とはなんだろうか、と思わずにはいられない。