社長自ら週に一度、社内ブログで「思い」を発信

「いちばん大事なのは多様性で、これはトップが意識的に高めていかなければいけない。ヨーロッパで組織を立ち上げた際には、多様性が薄れると途端に社員が会社から離れていくのを目の当たりにしました」

多様性重視の方針は世界中の事業所に共通だが、特に女性の管理職比率は、日本を除く海外法人では51%である一方、日本では13%と格差が生じているため、その是正に力を入れているという。これも企業成長を考えてのことで、谷内さんは「皆が平等な環境のほうが、多様な視点からイノベーションが生まれ、結果として組織としてのパフォーマンスが高まる」と力を込める。

しかし、企業文化の改革や社員の意識改革は、ただ戦略や制度を作るだけでは進まない。浸透させるには、トップが繰り返し発信し続けることも大切だ。世界中にいる4000人の社員にどうメッセージを届けるか──。谷内さんが出した答えは「社内限定ブログ」だった。

現在は週1回のペースで、自分の思いや会社が目指す姿などを、企業理念に絡めながら書きつづっている。主に日本語と英語で発信しており、たまに中国語バージョンをプラスすることも。こうしたブログは、広報担当者が社長から聞き取りをして書く企業も少なくないが、谷内さんはあくまでも自分で書くことにこだわっている。

発信の労は惜しまない

「コミュニケーション部は事前に確認したいかもしれませんが(笑)、相談もせず自分の思うように書いています。会社の理念や姿勢をしっかり発信するのはリーダーとしての責任ですから、労を惜しまないことが大事だと思います」

トップが社員に向けて発信する場と言えば企業サイトや年頭挨拶などが思い浮かぶが、ブログならより頻繁に、直接的に言葉を届けることができる。この社長ブログは社員にも大好評だそうで、企業文化の醸成にも役立っているという。

「トップは社員に対して『会社は社員の人生を応援しています』というメッセージを伝え続けるべきだと思います。特に当社にはHappiness with Vision(世界中の一人ひとりが、「見る」を通じた体験により、それぞれの最も幸福な人生を実現する世界を創り出す)という理念がありますから、全社員がそれを実践できる会社にならなくては。その理念の実践をさらに促すため、今後もさまざまな改革に取り組んでいくつもりです」

(文=辻村洋子)
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