適切にネットを使えば犯罪リスクを減らせる

地図アプリを使った空き巣を防ぐのは難しいかもしれないが、適切なネット利用を心がければ、犯罪リスクを減らすことはできる。

例えば、最近SNSを始めたおばあちゃん。今はつつましい1人暮らしだが、昔旦那に買ってもらった高価なアクセサリーを大切にしている。アクセサリーを旦那の思い出話と一緒にSNSにアップしたところ、たくさんのいいねや感想が寄せられた。

気分をよくしたおばあちゃんは、散歩中に見つけた植物や、近所の中華料理屋で食べた食事などを盛んにSNSに書き込むようになった。

クワガタを置いて自宅を特定

秋のある日、自宅玄関前に季節外れのクワガタを発見。面白いのでパチリと撮影して「玄関前に季節外れのクワガタムシ。どこから飛んできたのかしら?」とSNSにアップ。

クワガタ
写真=iStock.com/ruiruito
※写真はイメージです

後日、そのおばあちゃんの家は空き巣に入られて、大切なアクセサリーは盗まれてしまった。

一見、何の因果関係もないように見える、SNSへの写真アップロードと空き巣。しかし、季節外れのクワガタは、空き巣の犯人が置いたものだったとしたらどうだろうか。

犯人はツイートでおばあちゃんが高価なアクセサリーを持っていることを知り、日頃のツイートや写真からどの地域に住んでいるかを推測。居住区域をかなり絞った後に、最後の決め手としておばあちゃんの家であろう玄関前にクワガタを置いた。これをおばあちゃんが撮影、アップロードしたことで家は確定。おばあちゃんが買い物などに行ったことを確認して、空き巣に入ったのである。

これは決して僕が適当に考えた架空の話ではない。

実際にそのような手口でターゲットの家を特定したと思わしき事件が起きているのである。

決して裕福ではなくても、家にわずかばかりの高価なものを置いている人は少なくない。そうした人を狙って、個人の住所を特定するために空き巣がSNSを活用することは、決して珍しくないのである。