電信柱に記載された住所が写り込むことも
では、こうした犯罪のリスクを減らすにはどうしたらいいだろうか。
もちろん「SNSをしない」という解決法も存在するが、それでは生活の楽しみを奪ってしまうので、SNSを楽しみながら空き巣に情報を与えないためには、何に気を付ければよいかを紹介したい。
なお、これらの対処法はあくまでも「最低限」であって、これをすれば絶対に自宅を特定されないということではないので、注意してほしい。
まずは、自宅を特定されるような情報をアップしないことだ。
当然、わざわざ自宅の住所を公開する人は少ないだろう。しかし、自宅近くで撮影した写真には油断が発生する。家の近くで何気なく撮った写真に、電信柱に記載された住所が写り込むことは十分に考えられる。
そして先ほどの例のように、自宅玄関前の写真を撮ってしまうことも自宅特定につながりやすい行為である。クワガタのような特徴がなくとも、外からでも扉の形や壁の色は見えてしまう。
また、「雪が降ってきた!」などとベランダや窓から外の景色を写すのも危険である。それこそ写真に写った家の色や形と地図アプリを突き合わせて「この家からの撮影ではないか」と推測することができてしまう。
部屋の中での撮影でも、カーテンなどが開いていれば外が見えてしまうし、カーテンの色や窓の形状なども特定のための情報になり得るので安心してはいけない。
身近な何気ない風景などを共有できるのがSNSの利点であるが、日頃の生活をツイートしていれば、見知らぬ他人であっても「どの地域に住んでいるか」くらいは推測できてしまう。
「今日もハセストのやきとり弁当」というツイートがあれば「函館近辺の人だろうな」くらいは簡単に分かるのである。
そのくらいは分かっても、住所という最後の一線を越えさせないために、自宅の中や外はもちろん、近辺で撮影した写真の扱いには気を使いすぎるということはない。
旅行のツイートは「事後報告」で
また、逆に自宅から遠くに出掛けたときも注意が必要だ。
特に「○月○日から、家族みんなで一週間の旅行に行ってきます」のようなツイートは御法度。これではみすみす犯罪者に「この期間は誰も家にいないので、安全に空き巣ができますよ」と教えているようなものである。
一番簡単な対処法は、外出関係のツイートは「後で書く」ことだ。
「これから旅行に行ってきます」とか「今、旅行を楽しんでいます」ではなく「この間、旅行に行ってきました」と事後報告の形にするのである。
そうすれば少なくとも留守の期間を空き巣に教えることはしなくて済むし、旅行を楽しんでいる最中にSNSの反応を気にする必要もなくなるのである。
2021年もあと1カ月弱。
年末の忙しい時期には家を空けがちになるし、物入りの時期なので現金が家にあることも多く、空き巣などの犯罪が多くなりやすい時期として知られている。最近はキャッシュレス決済の機会も多くなったが、高齢者であるほど現金派が多いのが現状だろう。
こうした機会に、改めて犯罪事例を確認して、みんなでネットを利用した犯罪のリスクについて話してみるのはどうだろうか。