圧倒的に詳しく正確なプロファイリングが可能になる
これに対して、マネーのデータは、非常に重要なデータになり得る。まず、マネーは、あらゆる経済取引の裏側にある。誰もが、日常生活の様々な場面で、毎日何度も支払いを行なっている。だから、マネーのデータは、ほとんどすべての個人や企業について存在する。
しかも、数値的に処理できる正確なデータだ。したがって、マネーについての大量のデータが利用できれば、それを用いて、SNSなどで得られるデータより、はるかに詳しい情報処理ができる。プロファイリングも、ずっと正確になるだろう。
半面で、マネーのデータはきわめてセンシティブなものなので、その扱いについて、十分な注意が必要だ。とりわけ、個人情報の侵害にならないように注意する必要がある。
マネーのデータは個別でも価値がある
SNSのデータや検索データなどこれまでビッグデータとして用いられてきたものは、膨大な量のデータが集まることによって初めて価値を発揮する。一つ一つのデータをとってみれば、ほとんど価値がない。プロファイリングは、統計的な推定式によって見当をつけているだけである。だから、間違いもある。
しかし、マネーのデータは、これとは違う。何をどれだけ購入しているのか、誰にいくら送金をしているのか、誰から送金を受けているのか。仮にこうしたデータが得られたら、その人がどのような人であり、何をやろうとしているかは、かなり正確に分かってしまう。
つまり、一つ一つのデータであっても、価値が高い場合が多いのだ。例えば医療費の支払いが多いことが分かれば、健康上の問題を抱えていることが分かってしまう。プロファイリングというのはあくまでも統計的な推計に過ぎないが、マネーのデータは有無を言わせない証拠になる場合もある。
こうした意味で、マネーのデータは、従来のビッグデータより強力なのである。