行動できない原因は「面倒くさい」「不安」
せっかくうまく段取りができ、今何に集中すべきか明確になっても、腰が重たいという経験はありませんか?
先日、お会いしたIT系企業で営業職につく38歳の男性社員の方のお話です。
毎回、スマホのスケジュールアプリとTODOリストを駆使して上手に行動計画を立てておられました。素晴らしいなと思い、少し聞いてみたのです。「これだけしっかりと行動計画が立てられていたら、ストレスなく行動できていいですよね?」と。するとうつむき加減に「それが、そうでもないんですよ。どうも自分は計画を立てることで息切れしてしまって、結局、行動を先延ばしするクセがあるんです。それに、いまいちモチベーションも上がらなくて……」と言うではありませんか。
この方のように計画を立てただけで安心感を覚えて行動がにぶる人、段取りに自信が持てずに一歩が踏み出せない人など、着手までのハードルは予想以上に高い人が多いようです。
これまで過去15年ほどの間で、私の講演やセミナーには延べで3万人以上の方がお越しになりました。企業研修でも、300社以上で受講された方がいらっしゃいます。
これだけ多くの方に質問を繰り返してきました。「行動できない原因は何が考えられますか?」と。9割ほどの方が、「面倒くさい」「不安である」という答えでした。
答えが明確であるならば、それを解消する手段をとればいいのです。
ジョギングを始めたい人はまず靴を履くことから
その手段とはとにかく行動までのハードルを低くすることです。赤ん坊でも乗り越えられるくらいに、目の前のやるべきことのハードルを下げるのです。これを「ベイビーステップ」と呼びます。
もし、どのような難しいことであってもベイビーステップに変換することができれば、瞬時に「面倒くさい」「不安である」という行動の“足かせ”が外れます。
24時間以内にどんな難題だって、“着手だけ“は可能になるはずです。
例えば、あなたは英語が苦手だとしましょう。「会社から1年後には英会話をネイティブ並みにマスターしておいてほしい」と言われたら何から取り組みますか? 英会話学校に入学しますか? それとも字幕なしで洋画を観ますか? 英語が苦手な人にとってはこれでもハードルが高く感じられます。
ベイビーステップに変換すれば、「単語帳を開くだけ」という小さな一歩目の設定になります。これなら、ストレスなく始められそうではありませんか? 毎日英単語を100語覚えよう! というのではありません、気が乗らないときでもまずは単語帳を開くだけでいいのです。
毎朝、通勤前にジョギングを始めようと計画を立てたなら、ベイビーステップは「靴を履くだけ」でいいのです。物足りないくらいがちょうどいい。これを周りに発表すると笑われるレベルだけど、自分は1ミリのストレスも感じないレベルを目指してください。「もうこれ以上ハードルが下がらないよ!」というくらいに。