今年5月には中国探査機が火星への着陸に成功
中国の宇宙空間への進出は宇宙ステーションだけではない。今年5月15日には初めて探査機の火星への着陸に成功した。探査機の火星着陸は技術的にかなり難しいといわれる。にもかかわらず、すでに中国は着陸させた探査機に搭載された無人探査車を使って火星の地形などを詳しく調査しているとみられる。
これまでも中国は2019年1月に世界で初めて月の裏側に無人の探査機を着陸させている。昨年6月にはアメリカのGPSに対抗する衛星測位システムも完備した。今後、宇宙飛行士の月面着陸を成功させ、火星への有人飛行の段階に入るだろう。
しかし、中国の宇宙開発は安全性が疑われ、透明性にも欠ける。たとえば、5月9日には打ち上げた大型ロケットの残骸が、モルディブ近くのインド洋に落下した。残骸は全長約30メートルと大きく、当初から大気圏で燃え尽きずに落下する恐れが指摘されていた。
けが人などの被害はなかったが、懸念が現実となった格好だ。人口の多い都市部に落ちていたら大きな被害が出ていた可能性がある。同様のトラブルは昨年5月にもアフリカのコートジボワールで起きている。
日本を含む世界を危険にさらした中国の習近平政権の責任は重い。だが、中国はまったく反省していない。この点については、5月18日付の記事<「ついに火星到着も、ロケット残骸が落下」中国の乱暴すぎる宇宙開発が止まらない>でも触れた。
国際社会のルールや倫理感に背く行為は許されない
習近平政権の強権的かつ覇権主義的な行動は枚挙にいとまがない。
台湾に対しては、中国軍用機が台湾の防空識別圏(ADIZ)への進入を繰り返すなど軍事的圧力をかけ、「台湾は中国の一部。統一を実現することが中国共産党の歴史的任務だ」と訴える。同じく「核心的利益」と主張する香港では強制力と言論弾圧で民主派を一掃し、「これからも国家安全維持法により民主主義を取り締まり、長期的な繁栄と安定を維持する」と強調する。
大きな軍事力をバックに東シナ海や南シナ海の浅瀬を埋め立てて人工軍事要塞を築き、沖縄県の尖閣諸島を「中国の領土の不可分の一部」とみなして中国海警船を侵入させては日本漁船を追い回している。
ジェノサイド(集団殺害)が国際問題になっている新疆ウイグル自治区に対しても「譲ることのできない核心的利益」「他国の口出しは内政干渉」との主張を繰り返す。
中国国内では世界第2位の経済大国にのし上がった裏側で、大躍進運動、文化大革命、天安門事件によって余りにも多くの犠牲者を出してきた。
習近平政権の国際社会のルールや倫理感、秩序に背く行為は、決して許されない。