「社員に対し厳しいように見えるかもしれませんが、この制度は会社、経営する側としてもやりづらいです。社員が一同にそろうこともないですし、研修に稼働時間の10%くらいを割いているので、営業日数も限られます。マネジメントは容易ではありませんが、そこは会社と社員の関係は対等でありたいと考えています」
「当社では『権利と義務』という考えを大事にして、社員にはあらゆる権利を与えています。休みをもっと欲しいとか、出資を受けて独立したり、同業者になるといったこともOKです。これはダメ、できません、と言っていることはほとんどありません」
営業成績一辺倒の給与体系やめた結果…
社員の満足度を高められるような“働く基盤”を構築したことで、仕事は好きでも辞めざるを得なかった社員も、自身の努力や工夫次第で辞めなくてよいようになった。
これらの施策を実施したことにより、かつて8割だった離職率は2020年現在5.4%まで低下した。離職率が高かった頃の課題はクリアされた。
多くの会社が、創業から順調に成長しても、創業から5年ほど経つと一度成長が鈍化する経験をするが、新日本エネックスは成長速度を落とすことなく、2020年の売り上げは前年比175%を達成した。
「ただし、社員がその権利を行使するには“数字”が要ります。そこは明確にしている部分です。権利を得るための義務、大前提は営業成績。それが5割。それ以外の『姿勢点』。あいさつ、仕事に臨む態度、ごみを捨てるなど、会社がよくなるための行動を評価しています」
「トップセールスでも権利獲得のためには50点でしかないですから、売り上げを上げているだけでは権利を獲得できません。サンクスカードのアプリを作るなどして、どのくらい周りの社員に貢献し、感謝されているかなども評価しています。3カ月に1回の個人面談で、フィードバックを出しています。わかりにくい仕事でも、わかりやすいように定量、定性で評価。しっかり決算賞与に組み込んでいくことを大事にしています」
高い従業員満足度と低い離職率は、自然に達成できるものではない。きちんとした制度設計が必要と言える。