岸田政権は毅然とした態度を示すべきだ
産経社説は書く。
「だが、台湾は反発を強め、抑止力を向上させる構えだ。蘇貞昌行政院長(首相に相当)は『中国に武力行使させないよう団結し、防衛力を増強する必要がある』と語った。米国は協力する方針だ」
沙鴎一歩は台湾を応援する。台湾は協力するというアメリカの軍事力や経済力をうまく使って中国の習近平政権と戦うべきである。ただし、実戦は避けたい。あくまでも抑止のための軍事行動までだ。
同時に台湾は日本やアメリカ、イギリスなど民主主義の国々が集まる国際会議の場を借りて中国の非道を強く訴え続けるべきである。強いパンチにならなくともジャブの連発は相手を疲労させる。国際社会への弛まぬ訴えが必ずや功を奏するはずだ。
最後に産経社説は日本の対応に触れ、こう主張する。
「松野博一官房長官が『動きの一つ一つへのコメントは差し控える』『台湾海峡の平和と安定が重要で、情勢を注視している』と述べるにとどまっているのは物足りない。岸田文雄首相には、中国の行動は許されないとはっきりクギを刺してもらいたい」
沙鴎一歩も物足りなく感じる。だれがどう考えても中国の台湾威嚇は「異常というほかない」(産経社説)。岸田政権は毅然とした態度を示すべきである。
歪んだ行為を幾度も重ねて実行して正当化しようとする
10月7日付の朝日新聞の社説は「台湾海峡 危うい挑発を憂慮する」との見出しを付け、こう書き出す。
「世界の安全保障上、台湾海峡は最も重大で危険な発火地点のひとつとされる。米国、中国、日本の3大経済国のはざまで、細心の注意と警戒を要する緊張の海域だ」
台湾海峡は中国南東部の福建省と台湾島との間にある。南北の長さは380キロほどあるものの、東西の幅は狭いところでわずか130キロしかない。近いだけにまさに「世界の安全保障」にかかわる「緊張の海域」である。
朝日社説は主張する。
「何も言わず台湾の人々に脅威を与える。進入の既成事実を重ねて『常態化』していく。そんな手法で蔡英文(ツァイ・インウェン)政権を圧迫することは地域の安定を揺るがす。ただちにやめるべきだ」
「何も言わず」とは、中国側が軍用機の防空識別圏内への進入理由を説明しないことを指すが、仮に日本が台湾のような被害を繰り返されたとしたら、私たち国民は不安にさいなまれるだろう。そこが中国の狙いのひとつなのだ。しかも歪んだ行為を幾度も重ねて実行して正当化しようとするのが、中国のやり口である。蔡英文政権はその点をよく国民に説明して理解を求め、不安を極力解消すべきである。外交は内政に通じる。