マイナススワップの場合は、逆に売ればスワップを受け取ることができるが、将来の切り上げがほぼ確定しているような通貨をあえて売る人は少なく、相場が「買い」の一方通行になりがちだ。つまり売りたいときに売ることも難しく、レバレッジ1倍でも金利がつくどころか、引かれて目減りしていく。FXをアジア通貨の外貨預金代わりに使うことは難しいのだ。

アジア通貨の国内預金は徐々に解禁されつつある。例えば個人向けの元預金は三菱UFJ銀行系のモバイル取引に特化した「じぶん銀行」が10月11日から取り扱いを始める。元普通預金と最長1年の元定期預金があり、為替手数料は1元あたり片道0.4円。HSBCは富裕層向けサービス「HSBCプレミア」で普通預金と最長3カ月の定期預金を扱っており、金利は3カ月もので0.15%(90000元未満)。ほかにも中国銀行など中国本土の銀行の国内支店でも預金を受け入れているところがあり、切り上げによる為替差益を狙うのであれば、FXよりは外貨預金で長期的に保持したほうがよいだろう。

ウォンは邦銀で個人向けに預金を扱う銀行はなく、韓国外換銀行(KEB)やSBJ銀行など韓国の銀行でのみウォン預金ができる。金利はSBJ銀行の1年もの定期預金で3.5%、為替手数料は1ウォンあたり片道0.07円程度になる。

ルピーに関しては邦銀はもちろん、インド銀行などの日本国内支店でも扱っていない。

その国に居住予定などの事情があれば現地で銀行口座をつくるのが金利も高く一番よい。しかし、そうでなければ、マイナー通貨建ての債券やファンドなどで為替差益も狙うほうが現実的といえるだろう。

※金利・手数料は2011年9月12日現在、元預金は現金で引き出し不可。

(山本信幸=構成)