日本の祝日は年間16日で、世界平均の10日前後に比べて約6日も多い。それなのになぜ私たちは「休みが多い」と感じないのか。精神科医で早稲田大学の西多昌規准教授は「日本人は土日や祝日など、決まっている日にしか休んでいないことが多い。すると、自己肯定感が下がってしまい、心の疲れが取れにくい。休みは主体的にとらないといけない」という――。

※本稿は、西多昌規『リモート疲れとストレスを癒す「休む技術」』(大和書房)の一部を再編集したものです。

仕事中に腰の違和感を気にする女性
写真=iStock.com/maruco
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「身体」よりも「心=脳」の疲労に要注意

わたしがいちばん疲れを感じるのは、火曜日です。朝から夜まで、授業や面談、会議が詰まっているからです。2020年はすべて自宅からオンラインで行っていたのですが、例年にもまして疲れました。

不思議なのは、身体をほとんど動かしていないのに、夜はヘトヘトに疲れていることです。

自分のiPhoneのヘルスアプリを見てみると、ある日の歩数はたった30歩と、自分でも呆れる数値でした。

「こんなに動いていないのに、どうして疲れるんだ!」と思うのも、当然です。

疲れた身体を休める、あるいは病気やケガの治療と回復を目的とした「身体のお休み」だけでは不充分なことが、これだけでもわかります。そこで出てくるのは、やはり精神的ストレスによる疲れです。

リアルな世界でも、仕事や家庭のこと、人間関係などさまざまな精神的ストレスは、「感情疲労」とも呼ばれ、心の調子を崩してしまうくらいの大きな関心事です。コロナ禍で増えているデジタル・オンラインワークでは、それに加えてさまざまな認知負荷によって、脳がかなり疲れることがわかってきています。

日々の精神的ストレスからくる疲れを軽減し回復する「心のお休み」が、現代人にはますます必要になってきています。オンライン社会では、「心のお休み」は、「脳のお休み」とほとんど同じ意味でもあります。

精神的な疲れは、人によってストレス耐性も異なるので、ケガと違ってわかりにくいものです。元気そうに笑顔を見せていた人が、あるときから朝起きられなくなった、急に悲しくなって涙が止まらなくなった、など、自分だけにしかわからない、あるいは自分でも自身の調子がわからなくなっていることが、ありうるわけです。

では、「心の休み方」って具体的にどうすればいいのでしょうか。