毎月、新たに発売されるビジネス書は約500冊。いったいどの本を読めばいいのか。読書家が集まる本の要約サイト「flier(フライヤー)」で、9月にアクセス数の多かったベスト20冊を、同サイトの編集部が紹介する——。
第1位:『脱!残念な考え方』(幸本陽平著、自由国民社)
第2位:『「スルーされない人」の言葉力』(ひきたよしあき著、大和出版)
第3位:『伝える準備』(藤井貴彦著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
第4位:『サクッとわかる ビジネス教養 行動経済学』(阿部誠監修、新星出版社)
第5位:『「後回し」にしない技術』(イ・ミンギュ著、吉川南訳、文響社)
第6位:『45歳からの「やりたくないこと」をやめる勇気』(木下紫乃著、日経BP)
第7位:『今日がもっと楽しくなる行動最適化大全』(樺沢紫苑著、KADOKAWA)
第8位:『変える技術、考える技術』(高松智史著、実業之日本社)
第9位:『感情マネジメント』(池照佳代著、ダイヤモンド社)
第10位:『医者が教えるダイエット 最強の教科書』(牧田善二著、ダイヤモンド社)
第11位:『新版 ミーニング・ノート』(山田智恵著、金風舎)
第12位:『生物はなぜ死ぬのか』(小林武彦著、講談社)
第13位:『インスタグラム』(サラ・フライヤー著、井口耕二訳、NewsPicksパブリッシング)
第14位:『不安な時代をどう生きるか』(本田健著、大和書房)
第15位:『教養としてのデータサイエンス』(北川源四郎/竹村彰通編、内田誠一/川崎能典/孝忠大輔/佐久間淳/椎名洋/中川裕志/樋口知之/丸山宏著、講談社)
第16位:『グラフィックファシリテーションの教科書』(山田夏子著、かんき出版)
第17位:『無(最高の状態)』(鈴木祐著、クロスメディア・パブリッシング)
第18位:『超入門カーボンニュートラル』(夫馬賢治著、講談社)
第19位:『半歩先を読む思考法』(落合陽一著、新潮社)
第20位:『失敗を語ろう。』(辻庸介著、日経BP)

※本の要約サイト「flier」の有料会員を対象にした、2021年9月の閲覧数ランキング

「残念な考え方」から「ロジカルな考え方」へ

今月の第1位は、『脱!残念な考え方』でした。

幸本陽平著『脱!残念な考え方』(自由国民社)
幸本陽平著『脱!残念な考え方』(自由国民社)

「日本人の多くはロジカルな思考を苦手としている」という主張があるとしましょう。これは「残念な考え方=非ロジカルな考え方」です。

なぜなら「多く」とはどのくらいで、どう調べたのかわかりませんし、「ロジカル思考が苦手」とはどのような状態なのか、その判断の基準も不明だからです。主張の根拠は「私がそう思うから」でしかありません。

本書で定義する「残念な考え方」は、この例のように「ツッコミどころの余地が多い」もののこと。「本当にそう?」「証拠はある?」「あなたの感想では?」「ただの偶然では?」「例外では?」などといったツッコミが思い浮かぶようなら、それは「残念な考え方」なのです。

では逆に、ロジカルな思考とはどんなもののことを指すのでしょうか。本書では「ロジカルな思考」=「つながっている」「深く考えている」「広く考えている」の3つの要素を満たした考え方、と定義しています。

「つながっている」とは、演繹えんえき的もしくは帰納的に考えたとき、そこに不自然さや間違いがないこと。「深く考えている」とは、具体的であること。「広く考えている」とは、「本当にそれだけ?」「ほかにもっとあるんじゃない?」というツッコミが入らない、「抜け漏れ」のない状態であることです。

本書では、「つながっている」「深く考えている」「広く考えている」のそれぞれの観点から、ロジカル思考について掘り下げていきます。残念な考え方から抜け出し、ロジカルに考えるために、ぜひ本書を手に取ってみていただければと思います。