河野氏は総裁選敗北後、「(岸田政権を)全力で支えていきたい。必要とされるところで骨身を惜しまず頑張りたい」と記者団に語った。

国民世論とかけ離れた総裁選

河野氏が惨敗した今回の総裁選は、世代交代や派閥政治の打破を期待する国民世論と相容れない結果に終わった。自民党は内向きな姿勢を強め、国民世論とかけ離れていくのか。わたしたち国民が自民党の選択の是非を問う機会が、11月7日投開票が有力視される衆院選である。

内閣支持率が続落した菅政権末期、野党では政権交代への期待感が高まった。しかし菅首相が総裁選不出馬を表明し、マスコミ報道が自民党総裁選一色に染まると自民党支持率は急速に回復。野党は埋没し、政権交代の機運は一挙に萎んでいる。

国会議事堂
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野党には、岸田氏は国民的人気の高い河野氏や女性初の首相をめざした高市氏よりも闘いやすいという受け止めがある。一方、新自由主義的な競争経済を志向する河野氏や高市氏と違って、岸田氏は格差是正を重視する姿勢をみせている。野党の政策と重なり、対立軸がぼやける恐れもある。野党は岸田氏が森友再調査に否定的なことに照準をあわせて、「岸田政権は安倍傀儡」とアピールするだろう。

だが、立憲民主党の支持率は低迷し、政権交代が実現するという見方はほとんどない。岸田氏は総裁就任会見で衆院選の勝敗ラインを「与党で過半数」とした。自民党が議席を減らしても、自公で政権を維持すれば首相を続ける意向だ。安倍氏も岸田氏よりも操りやすい首相候補がいない以上、自公で過半数を維持すれば岸田政権を支えつづけるだろう。岸田政権のもとで「河野氏の石破化」を着実に進め、世代交代の動きを抑え込むと見られる。

再起のチャンスがあるとすれば……

河野氏に再起のチャンスがあるとすれば、来年夏の参院選だ。岸田氏は総裁就任後に今秋の衆院選と来夏の参院選に向け党内の結束を訴えたが、菅政権同様、コロナ対策などで迷走して内閣支持率が低迷すれば、来夏の参院選にむけ「岸田首相では戦えない」という党内世論が強まる可能性はある。その場合、河野氏待望論が沸き起こるのか、岸田氏に変わる「中継ぎ」が登場するのか、それとも安倍氏が再再登板に踏み出すのか。

安倍氏がキングメーカーとして暗躍しつづける限り、首相が次々にすげ替えられ、政治の混迷が続く可能性は極めて高い。「安倍支配の継続」の是非が、衆院選最大の争点となろう。

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