彼らのような人材が、本当の「DX人材」
川鍋会長はアメリカでウーバーが登場したとき、「このままではタクシー業界は危ない」と危機感を持ったそうだ。そこで、プログラミングスクールに通ってシステム開発を進めたという。
2020年末にIPOをし、ロボアドバイザー投資事業で業界断トツのウェルスナビ柴山和久社長も、社長自らシステム開発をした経営者だ。柴山社長は、アメリカの家庭では当たり前のように資産運用がされていて、アメリカ人の妻の親は自分の親より資産が10倍もあったことに衝撃を覚えたことから、日本の働く世代のための資産運用サービスが必要だとして起業。自ら(川鍋氏と同じ)プログラミングスクールに通って、ロボアドバイザーによる資産運用システムの原型を構築した。
この2人はともに文系出身だが、見事にプログラミング思考を身につけた経営者だ。経営者の頭の中にある構想をシステムに落とし込むことできる、彼らのような人材が、本当の「DX人材」なのだ。
日本の将来を考えれば、システムがわかる人間が経営者になったほうが早いだろう。プログラミングができる中高生を「ITエンジニア哀史」の世界に送り込むのもやめるべきだ。(日本では比較的人材開発がうまくいっている)ゲーム業界と同じように彼らに早めに経営を教えて、起業させる仕組みが重要である。
(構成=伊田欣司、結城遼大)