詐欺が横行しやすい自由診療は要注意

詐欺クリニックの手順は大まかに以下のとおりだ。

①多くの書籍を出版して、それを宣伝する。
②来院した患者に「抗がん剤や放射線治療は聞かない」のウソを吹き込む。
③ウソを信じた患者に「これなら治る」とサプリを売る。
④悪化した患者には「今回は効かなくて残念だ」と伝える。

こんなことを繰り返しやっているのだろう。数字を言えば追求されるため、いっさい口にしない。このようなやり方でもがん患者は「治る」という言葉につられてしまう。

実際にある芸能人がこのクリニックの著書を推している動画を出していたり、また別の芸能人はラジオにこの医師を招き、話を聞いたりしている。普通に生活して目に入る場所にこの詐欺医療は存在するのである。

がん医療には大きくわけて3つある。標準治療、先進医療、自由診療である。標準治療は現段階で最も効果が高いと認められている治療で通常は保険診療で行われる。先進医療はこの標準治療を上回る可能性があるがまだエビデンスの蓄積が足りない治療で、混合診療が認められている治療(先進医療の部分だけ自由診療で他は保険で賄われる)である。ただし上回る可能性は6%程度とかなり低いため、標準治療がおおむねベストの治療といえる。

最後の自由診療は標準治療よりも下回ると認められた治療や全くエビデンスのない治療が該当する。最も患者が注意すべきはこの自由診療だ。自由診療は価格を自由に設定し、保険のチェックも入らないため、利益目的の詐欺が横行しやすい。中には効果が望めそうな治療(重粒子線治療など)がまれに含まれるが、多くの場合「効果が高い」と勝手にうたっているだけの詐欺医療だ。

「5分程度しか説明してくれない」という不安が狙われる

がん治療におけるベストの治療は標準治療である。ただし、それはあらゆる状態のがんを100%治せるわけではない。手術や抗がん剤の副作用を聞かされた時、私たちから治らない可能性が高いと聞かされた時、患者さんは常に不安と戦い続けることになる。しかし私たちはその不安と向き合う時間はない。多くの患者さんを抱える医師にとっては5分程度で治療の説明をしなければならず、患者さんの不安を増長させることになる。

ここに詐欺医療が入り込む隙があるのだ。詐欺医療は具体的な数字も副作用も言わず、ただ「治る」と断言する。また2時間程度かけてゆっくりと患者と向き合うのだ。もちろん2時間じっくり見ているのは患者の体ではなく懐のお金なのだが。

ぜひ医師の説明を1人で聞かないようにしてほしい。患者さんは不安な気持ちや、慣れない医療用語で説明がうまく聞けていないケースがよくある。質問もうまくできず、「あの先生の言うことはよくわかんなかったな」で終わる場合も少なくない。それはわれわれ専門医の責任でもあるが、患者さんができることとして家族や親戚を同席させるという方法がある。

家族がいるので心強いし、家族が落ち着いて医師に質問もできるし、あとで話の確認も家族として理解を深めることもできる。理解が深まれば不安は少しずつ解消されて詐欺医療が入り込む隙がなくなるのである。

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